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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十四章 消えた勇者
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キング対キングの戦い



「じゃあ、クマりん。子グマちゃんは仲間を呼ぶから、テディーキングになる前に倒してね」


 ——と、前もって頼んでおいたんだけど。

 クマりんは無表情だ。

 笑顔なんだけどね。ぬいぐるみだから。笑顔の無表情。

 前に一回だけ、しゃべったんだけどなぁ。寡黙かもくな子だなぁ。


「じゃ、ぽよちゃん。聞き耳お願い」

「キュイ〜」


 ぽよちゃんはよくしゃべる子だ。


 子グマちゃんは以前にも戦ったから行動パターンは把握している。レベル12ってなってるので、数値がちょっと高いだけだ。


 ケロよんは……ぬいぐるみなのに石化攻撃してくる! このダンジョンは基本的に石化攻撃がメインなんだな。フェイントっていうのは、なんなのかな?


 女の子は、おままごと、か。

 泣くっていうのもある。


 では、戦闘。


「バランとぽよちゃんはケロよんをたおして。次は子グマちゃん。女の子の順番で」


 いつものように戦闘開始しようとしたときだ。急にケロよんの舌がベロ〜ンと伸びた!

 ええーッ! なんで急に?


 ケロよんの舌攻撃は石化技だ。

 ああー! ぽよちゃんがなめられた。ペロンと。顔をペロンと。


「キュウ……」


 ぽよちゃんが石に! 石になってしまうー!

 ……ん?

 ならないな。

 顔をペロンとされて、ぽよちゃんは気持ち悪そうにしてるけど、石にはなってない。


「なんだったんだ? 今の」


 クルウの助言が発動した!


「今のがフェイントです。戦闘開始直後に、必ず先制攻撃で固定されている技なんでしょう」

「でも、ぽよちゃん、石になりませんでしたよね?」

「フェイントだから、石化の確率は50%のようです。これに似た攻撃を仕掛けてくるモンスターは他にもいますよ」

「なるほど」


 ケロよん。目立ちたがりのカエルだなぁ。今後もケロよんが出てくるたびに、毎回、必ず一度はフェイントを受けるわけか。石化か、石化じゃないのか、ドキドキルーレットだ。


 では、あらためて実戦!

 ケロよんはバランの二回攻撃で、あっけなく倒れた。フェイントだけが彼の出番であった。だから目立とうとするのかな?


 けど、ぽよちゃんの番だ。

 ぽよちゃんが子グマちゃんを攻撃しようとすると、クマりんがジャマをした。どうやら、自分がやりたいらしい。


 困ったなぁ。

 ぽよちゃんの攻撃が一回外れて、倒しきれなかった子グマが仲間を呼んだ。みるみるうちにテディーキングになってしまう。


「ああ……キングになっちゃったよ」


 それに対抗するように、今度はうちのクマりんも仲間を呼びだす。こっちも合体してテディーキングになった。


 キング対キング……。


 二体はターンなんか無視して、あばれるで殴りあう。僕らのことなんて見えてない。これはバトルというより、ナワバリ争いなのかも?


「しょうがないね。女の子だけでも倒しとこうか」


 と、見まわしたが、女の子の姿は見えなくなっていた。


「あれ? 逃げたかな?」


 近くもなく遠くもないどこかから、泣き声が聞こえてくる。

 うーん。これは、女の子の得意技“泣く”か?


 そういえば、ずっと聞こえていた泣き声。女の声っていうより、子どもの声だよね?

 なんか気になる。


「シャケ。アンドーくん。ちょっと交代してくれる」

「ええけど、なんでや?」

「ちょっと僕、ぽよちゃんといっしょに、そのへん歩いてくる」

「ふうん。気ィつけや?」

「うん」


 僕は戦線離脱して、泣き声のもとへ歩いていった……。

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