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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
二章 シルキー城の一夜
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再会の約束



 蘭さんは続ける。

「あの通路なら、出てくるモンスターは、ぽよぽよやドラッキやメラりんだ。かーくんさんでも、ギリ倒せる」


 ああ、ごめんねぇ。

 僕がみんなの足ひっぱってるねぇ。


 チラリとドアのすきまから外をのぞきながら、ワレスさんが言った。


「牢屋のそばにあった、アレか?」


 蘭さんが答える。

「そうです。王家の人間だけが鍵をひらくことができる扉です」

「いいだろう。そこまで、おれが護衛する。そのさきは、おまえたちだけで行けるな?」

「そうですね」


 ああ……ワレスさん、行っちゃうんだ? さみしいなぁ。兄ちゃんと離れ離れになる気分。ワレス兄ちゃーん。なんちゃって。


「ワレスさんは、どこ行くんですか?」と、聞いてみた。

「ココノエ元王と王妃の救出に向かう。そのほうが勇者も安心だろ?」


 蘭さんのおもてが、パッと輝く。


「父上と母上を助けてくれるの?」

「ああ。勇者の心の平安のために」


 そっか。そうだよね。いかに部下が守ってるとは言え、ワレスさんは隊長だ。隊長がいるかいないかで、隊の実力が発揮できるかどうかは違うだろう。

 あっ、もしかして、クルウとか、ハシェドとかもいるのかな?

 ちょっと会ってみたかったなぁ。

 王の前ではワレスさんしか見てなかったし。てへっ。


「じゃあ、まずは、おまえたちを地下の扉の前までつれていく」

「いいけど、僕は兄にも追われています。ここを出たら、どこにも行き場が……」

「そうだな。おまえは、もっと強くならなければな。世界どころか、両親さえ救えない」


 あっ、今度は蘭さんがシュンと……。

 やっぱり兄ちゃんっぽいんだよな。

 蘭さんも兄ちゃんには、こんな感じ。

 強い男って似てくるのかな?


「まあいい。ここを出たら、おまえたちは、わが国へ来い。そこで鍛えてやる」


 へへへ。そこで再会できるのか。

 まあ、それならいいかなぁ。

 ほんとはレベル47のホーリーナイトにずっと護衛してもらいたかったけど。

 ゲームだもんねぇ。

 そんな簡単にはクリアさせてもらえないかぁ。



 *


「では、行くぞ。武器は持ったか?」


 あっ……。

 僕、まだ、装備品、買ってなかった。


「三村くん。青銅のよろいと銅の剣ちょうだい。かわりに、この木刀を売る」

「ほなら、百八十円と百五十円で、合計三百三十円から木刀買い取り代の二十五円ひいて、しめて三百五円やな。かーくんやし、特別に五円まけたるわ」

「えッ? まけてくれるの? ラッキー」


 まけてくれる商売人、ゲームでは初めてだ。

 着られてる感満載だけど、僕はようやく防具らしい防具を身につけることができた。ほんとはブーメランが欲しかったんだけど、お金が足りないから、しょうがない。銅の剣なら、木刀の使用法と大差ないだろうし。

 所持金は五十円になってしまったが、木刀の代金は残した。


「いいか? 行くぞ?」

「はい!」

「行きましょう」

「行ったるでぇー」


 とはいえ、なるべく地下道に入るまでは戦闘をさけたい。


「僕の得意技を使います。危険察知です。これでモンスターに先制攻撃されることはなくなる。出会い頭にぶつかることだけはなくなります」と、蘭さん。


 かわいそうにな。蘭さん。現実でもゲーム世界でも危険なめにばっかりあってるから、こんな得意技が……。

 僕なんか、小銭拾いだ。


 あれ? さっそく小銭だ。変だな。昼間、歩いたときには城内に小銭なんか落ちてなかったのに。

 そうか。この技って、モンスターが出現する場所でしか発動しないのか。

 つまり、今、このお城のなかはダンジョンと化している。


 あっ! しかも、よく見たら五十円だ!

 穴があいてるから、てっきり五円だと思ってたぞ。五円でもこの世界に来てから拾うのは最高金額だけど、いきなり五十円か。これは嬉しい。いっきに所持金が倍に。

 現実では一回だけ五百円玉、拾ったこともあるけどねぇ。


 しばらく歩くと、すぐにまた五十円が落ちていた。な、なんだ、これ? こんなに拾えていいのか? 幸せすぎて怖い!


 もしかして、僕のこの得意技って、出現モンスターの強さに関係してるとか?

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