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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十四章 消えた勇者
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やってきました。ポルッカランド



 草原の遠くのほうに線路が見える。

 あれが僕らの乗った汽車の行く道か。

 平行するように敷石された細い道があり、これが地方と王都をつなぐ街道だ。ローマは一日にして成らず——なんとなく言ってみた!


 こんもりした森をぬけ、ポルッカランドの東側の端についた。

 街のまわりに木の柵がある。

 そこに木の看板がたてられていて、ポルッカランドと記されていた。


 国というには、ひなびてるなぁ。

 牧歌的な村そのもの。

 畑や田んぼや果樹園のむこうに、遠く屋敷がポツリと一軒。


「ここからはモンスターが出るんだね?」

「出よるで。キノッコとか。バンビーノとか。庭スライムとか。あと、カマキリンとか。やっかいなんは、バジリスクやなぁ。石化攻撃してくる」


 聞いたことないモンスターばっかりだ。


「バジリスクはいろんなゲームで有名なやつだよね。トカゲなんでしょ?」

「ゲーム……」

「あっ、そこはいいから」

「トカゲやな。ペロンとなめられると、石になるんや。クマりんが石にされてなぁ。ノーランまで逃げだすんに、えらい苦労したわぁ」


 な、なるほど。

 実質、戦士二人で旅してたのか。石のクマかかえて。それは大変だったよね。


 僕の好きなドラゴンなゲームには、石化異常は出てこなかった気がするけど、ここは似て非なる世界だからな。石化異常を治すアイテムがあれば買っとくんだったなぁ。


「じゃあ、バジリスクに注意して進もうか」

「誰が戦うことにすう? 人数、増えたが?」と、アンドーくん。


 たしかに久々に八人だ。馬車に乗りこめる人数、もうちょい増やせないかなぁ? せめて十二人なら三パーティーなのに。


「私はつきそいですので、数には入りません」と、クルウが胸に手をあてて、かるく一礼した。

 美男は何しても似合いますね。


 クルウはNPCか。

 じゃあ、あと四人が戦えるよね。

 悩んだけど、僕は副リーダーでパーティーの主戦力だ。それに、素早くて攻撃力の高いぽよちゃんは外せない。

 あと二人を誰にするか。

 アンドーくんの「みんな巻き」はボス戦にとっときたい。

 クルウも騎士だから直接攻撃系で、戦士が外に三人か。


「魔法使いがアンドーくんだけかぁ。回復役もたまりんだけでしょ? 二人にはMP温存してもらうことにして、外を戦士でかためるってのも一つの選択肢かな。じゃあ、僕、ぽよちゃん、シャケ、バランで。バランと戦ったことまだないよね。楽しみ」


 僕は破魔の剣と竜鱗のよろい、竜鱗のかぶとを三村くんに渡した。竜鱗の盾と竜鱗の靴は、僕が装備してたんだけど、オリハルコンのよろいだけで充分の防御力がある。なので、鋼鉄シリーズの盾とブーツをひっぱりだして装備しなおすと、竜鱗の盾と靴を三村くんに渡した。


「おおー、気前ええなぁ。ええんか? すまんなぁ。スゴイやんか。トータル防御力140やで。ありがたいわぁ」


 うーん。シャケ商店で僕はぼられるのに、三村くんはタダ。なんか納得いかないなぁ。


「じゃあ、バランには銀の胸あてあげるよ」

「かたじけない」


 あっ。そうだった。バランは日本語しゃべるんだった。


「盾とかぶとは黒金かぁ。もっといろいろ買っとけばよかったなぁ」

「黒金のかぶとは少々……私の好みでは」

「あっ、そう?」


 話していると、急に背後で「わあッ」と叫び声が聞こえた。


「……なんなの? シャケ」

「このよろい、今、光りよったで」

「えっ?」


 たしかに、三村くんの全身が光ってる。なんだろなぁ?

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