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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十四章 消えた勇者
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消えた蘭さん



「僕、ロランを助けにフィリンドまで行きます!」

「そうですね。勇者の身に何かあったとすれば一大事だ。私も同行しましょう」

「えっ? ほんと?」

「ワレス隊長から、あなたがたのお世話を任されておりますので」


 わ〜い。クルウの実力いかほど?

 クルウと旅できるのは、これが最初で最後の機会かもしれない。


 僕は急いでアンドーくんを呼びに戻った。

 アンドーくんは土いじりをして幸せそうだった。植えたばかりの力の種に水をやっていた。


「アンドーくん。ロランが行方不明だって。探しに行くよ」

「えっ? 行方不明?」

「うん。フィリンドを発ったあと、消えたんだ」


 やっぱり目を離すといけないんだな。

 こっちの世界ではストーカーに拉致られたわけじゃないだろうけど。

 何があったというのか?


「馬には乗ったことがありますか?」と、クルウが聞いてくるので、「ありません!」と正直に答える。子どものころに観光地で一回だけ乗ったのは、数に入れちゃいけないだろう。


「しかたありませんね。では、馬車で行きましょう」


 クルウが目立たない地味な幌馬車を用意してくれた。かなり小さいやつで、大人二人とぽよちゃん、たまりんが乗るといっぱいだ。御者はクルウ。なんでもできる人だ。


 さらば、花の都。

 カジノ行きたかったけど、仲間が行方不明なんだもんね。ガマン。ガマン。


 二頭立ての馬車はガラガラと進んでいく。

 せっかく汽車で来た道のりを逆戻りか。汽車代がもったいないなぁ。


 それにしても、蘭さんは装備品もいいし、レベルのわりにはかなり強い。よっぽどレベル差のある相手じゃないかぎりは負けることなんてないはずなんだけどなぁ。


 馬車なんで、汽車ほど速くない。

 途中の街で一泊した。

 心ははやるけど、なかなか現地に行きつかない。街のなかで情報を集めたものの、やっぱり蘭さんたちを見かけた人はいなかった。蘭さんはあれほど美しい人だから、通っていれば人目につかないなんてことは絶対にない。


 ただ、酒場でこんなウワサを聞いた。


「ん? 仲間が行方不明? フィリンドのそばで? ああ、あそこはダメだよ。近ごろ、フィリンドからノーランのあいだで、やけに娘っ子がいなくなるんだ。地元の人間は娘を外に出さないようにしてるんだってよ。たしかギルドにも娘っ子を探してくださいって依頼があったと思うねぇ」

「フィリンドとノーランのあいだの道すじには何があるんですか?」

「うーん。ポルッカランドっていう、小さな村があるだけなんだけどなぁ」

「ふーん。ポルッカランドですか。村なのに、ランド……」

「へんくつな金持ちが自分の国をきどってるって話だねぇ」


 思いっきり怪しいじゃないか!

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