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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第五部 ようやく王都シルバースター! 十三章 花の都
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これが派閥か?



 困ったぞ。

 さっき、ワレスさんと手あわせしたときに二回、傭兵呼びを使ったから、所持金は少し減ってるものの、まだ十九万円以上持ってる。つまり、二千近いダメージを傭兵呼びで与えることができる。

 この目の前にいる背の高い(二メートルあるなぁ)黒髪ツンツン男が、どのくらいのHPなのかわからないけど、回避率低ければ、もしかしたら、ほんとに倒してしまう。

 そうなると、あとがめんどうな気がした。部下の見てる前で恥をかかされたとかなんとかで、よけいに恨みを買ってしまうだろう。

 だからって、わざと負けてやるのもなんか、おもしろくないんだよなぁ。

 うーん、能ある鷹は爪を隠すべきか?

 そんなことを考えてると、背後からコツコツと足音が近づいてきた。


「おや。デギル隊長。こんなところで何を?」


 この声はっ!

 ふりかえると、救世主。

 クルウが立っていた。

 この人もハンサムだよなぁ。

 アンドーくんが着てるのとよく似た黒い軽鎧をまとっていて、腰には騎士剣。身長は二メートルまではないけど、一メートル九十はある。

 西洋風の武者人形だ。


「かーくんさん。宿舎の用意ができました。案内いたしましょう」

「ありがとうございます!」


 僕は手招きするクルウのあとについていった。

 ほっ。危険回避。

 チッと背後から舌打ちの音が聞こえてきた。だけど、デギル隊長は追ってこない。ここはいったん、ひいてくれたようだ。


 充分離れてから、僕は口をひらいた。


「あれが派閥争いなんですか? さっきの人、僕を自分の隊に入れたいみたいだったけど」

「まあ、そうですね。デギル隊長はワレス隊長に対抗心を燃やしているだけです。実力でワレス隊長にかなわないので、ヤキモチを妬いているのですよ。やっかいなのは、むしろ……」

「むしろ?」


 クルウは僕をかえりみて微笑した。

「いえ。それより、フィリンドから返信が届きました」


 ごまかされたなぁ。

 クルウは秘密主義だっけ。

 ワレスさんへの忠誠心だけは本物なんで、僕らにも害意はないと思うけど。


「フィリンドからですね。ロランたちと連絡がとれましたか?」


 クルウは首をふった。


「勇者たちのパーティーは、たしかに三日前、フィリンドを出立している。だが、そのとなりのノーランの街に到着した形跡がない。ギルドにも立ちよっていないし、誰一人、彼らを目撃した者がいない。フィリンドからノーランは半日で到着する距離なんだが」

「ええーッ! ロランたちが消えた?」

「そういうことになりますね」


 ううっ。蘭さんのさらわれ癖。

 異世界でも健在だったのか……。

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