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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第五部 ようやく王都シルバースター! 十三章 花の都
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一人になったものの



 裏庭を出ると馬屋があり、ザクロに似た花の咲く木がたくさんあった。外壁にそって柱廊がある。

 そこを歩いていたときだ。


 んー? なんか、つけられてる?

 キョロキョロすると、柱のうしろから男が出てきた。しかも四、五人。

 アッ! 汽車の旅でいっしょに戦っ(て、えっらい迷惑かけてくれ)た変なおっさん、ダルトさんがいる。みんなのうしろでヘコヘコしてる。


 先頭は背の高い男だ。

 ボディビルダーの大会で見るのが、一番、自然な感じ。ピンピン立てた短めの黒髪で、一般的な男の好むカッコイイ男かな。僕の好みじゃない。足は長いな。


 でも、となりのお姉さんは好みだ!

 ストレートの金髪を頭のてっぺんでポニーテールにして、皮のひたい飾りや、肩パット、胸あてなんかをつけた女戦士っぽい美人。めっちゃ大きな大剣を背中に背負って勇ましい。

 金髪かっ? やっぱり僕、金髪フェチなのかっ? なのかな……?


「よう。兄ちゃん。おまえか? ワレス騎士長がひろってきた新しいお気に入りってのは?」


 ん? そんなふうにウワサされてるんだ? ダルトさんのせいかな?


「えーと、あなたは?」


 男はニヤリと笑った。

 この人も一筋縄ではいかない感じ。


「おれの名前を知らないのか。そんなやつ、もぐりだろ?」

「すいません。この国のことに、うといので」


 知らないなぁ。

 僕の小説の登場人物じゃない。


 ダルトさんがうしろのほうから口を出した。


「小僧。よく聞け。このおかたはな。傭兵隊長のデギルさまだ。おまえなんか足元にもおよばないほど強いんだぞ」

「あっ、そうですか。どうも。初めまして」

「…………」


 なんだろうか? この独特の間。

 やっぱり、ぽよぽよだと思われたんだろうか?


「……ま、いい。おまえ、そこそこ強いんだってな? どうだ? おれの隊に入らないか? 近衛騎士なんて、お坊ちゃんの身のまわりのお世話をするばっかりで、つまんないぜ? こっちのほうが冒険できる」


 おっとぉー。ヘッドハンティングだーっ!

 僕、ぽよぽよじゃない?

 ちょっと嬉しいかも。

 そこそこって言われるのがシャクな気もするけど、まだレベル低いんで、いたしかたあるまい。

 でも僕、ワレスさんが大好きなんだよー。離れたくないんだよー。


「すいません。僕、リーダーじゃないんで。決定権はリーダーにあります」

「ふうん? おまえのリーダーは?」

「ここにはいませんよ?」

「ちょっと手あわせしてみないか?」


 なんで、そうなるんだ?


「いえ。けっこうです」

「逃げるのか? こっちはおれ一人でいいんだぜ?」


 んー、今、アンドーくんいないしな。

 火力は僕とぽよちゃんがいるんで問題ないけど、補助魔法が足りてない。


「いえ。僕、初対面の人と、そういうのしない主義なんで」

「さっき、ワレス騎士長とは一戦まじえたんだろ?」

「そりゃ憧れの人ですからっ!」


 あっ、男が仏頂面になった。

 気分を悪くしたらしい。


「まあ、そういうなよ。稽古つけてやるって言ってんだよ」


 ああ……強引に戦闘にもちこむタイプ?

 てか、これって僕、不良にからまれた中学生?

 うーん。猛、助けにきてくれないかなぁ……。

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