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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第五部 ようやく王都シルバースター! 十三章 花の都
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ワレスさんと手あわせ〜



 まだお城のなかを自由には動けない。

 次につれられていったのは、一階にある兵術訓練所だ。

 シルキー城でも訓練所で、トーマスに教えてもらったっけ。

 ボイクド城の訓練所は、シルキー城よりもっと広い。たくさんの兵士がいて訓練していた。あたりは熱気に包まれている。そこに騎士長のワレスさんが入っていくと、ざわざわとどよめきが走った。


「騎士長だ」

「近衛騎士長」

「おれたちの総大将だぜ」

「もしかして訓練するのかな?」

「ウオーッ。騎士長の剣の舞、ぜひとも見てみたい!」

「風のようにしなやかで、鳥のように優雅だというからなぁ」

「ぽっ」


 ん? 最後の「ぽっ」っていうの、なんなんだ? 誰? 誰?


「すごい人気ですねぇ」

「まあな。やつらは傭兵あがりだ。傭兵にとっては強さこそがすべてだ。さあ、ぬけ。四人がかりでいい。相手をしてやる」


 わあッ。四人がかりでいい、だって! 一生に一回でいいから言ってみたい。

 はぁはぁ。

 この人といるとテンション上がるよ。

 あーあ。僕が言っても絶対、さまになんないよねぇ。いいなぁ。言ってみたいなぁ。


「四人でいいんですか?」

「ああ」

「けっこう、強くなりましたよ?」

「そうだな。とくに、おまえは変な数値を持ってる。でも、まだ、おれの敵じゃない」


 僕のつまみ食いを見ぬいたのか。さすがだな。


「おれの攻撃に3ターン耐えることができたら、おまえたちの腕を認めてやろう」

「じゃあ、遠慮なく」


 チャチャチャン。チャチャチャン。チャチャチャンチャン——


 やっぱり音楽はかかるんだ。

 よし。やろう。

 一生一度の思い出だ。


「僕ら先攻でいいんですよね?」

「ああ。もちろん」


 もちろんなのか。


「じゃあ、ぽよちゃん。いつもの聞き耳してくれる?」

「キュイ〜」


 ではでは、憧れの英雄のステータスを見てみよう。なんか、のぞき見してる気分だなぁ。いいのかなぁ? ドキドキ……。


 ワレスさんのレベルは50。

 前、47だったよね?

 また強くなったのかぁ。

 HP670(938)、MP420(546)、力410(553)、体力375(412)、知力400(480)、素早さ470(587)、器用さ370(425)、幸運155(170)。


 な、なんだこれ。

 これが人間のステータスか?

 へたなボスモンスターより遥かに強いんだけど?

 カッコ内が職業ボーナスのついたじっさいの数値なんだよね? 全部補正されてる。体力ってレベルアップ時のHPの伸びと防御力にかかわってくるんだけど、412って、じっさいにはこれに防具を身につけてるわけで、だとしたら、防御力500くらいってこと?

 さっきの山びこと変わらないんだけど!

 うーん。幸運以外のすべての数値がバランスよく高くなるタイプかぁ。


 ごくりと息をのんでると、ワレスさんがニヤリと笑った。王子様みたいな麗しい顔だけど、この人はけっこう、こういうニヒルな表情が似合う。


「どうした? 怖いのか? なら、2ターンまでは防御魔法は使わないでおいてやろう」

「えーと、なんでこんなに補正がいっぱい入ってるんでしょう?」

「おれはな。けっこう器用なんだよ。覚えが速いんだ。いろんな職を転々としてたら、マスターボーナスで、やたらと補正されたんだ」

「ですよね。魔法もまんべんなく、なんでも使えますね。賢者とかもマスターしてます?」

「ああ。したよ?」


 うーん。

 魔法はいっぱいありすぎるんで、ちょっと覚えきれない。少なくともスズランが使えた魔法は全部、使える。スズランも使えなかった風属性の魔法が目につく。


 風神の嘆き〜(´-_-。`)

 雷神の怒り〜( ゜皿゜)キ─︎─︎ッ!!


 この二つがとくに気になる。キーーーッて、ワレスさんが言うんだろうか?

 そう言えば、前にシルキー城でスネークドラゴンと戦ったときに使ってた魔法はどれかな? 風を起こしてたから風属性なんだろうな。


「風属性の魔法って、どうやったら覚えられるんですか?」

「ああ。それは職業じゃないんだ。おれの固有の魔法だ。風属性魔法は生まれつき素質を持っていないと覚えられないらしい」


 つまり、レベルアップ時に覚える個人の魔法か。

 僕が職業につく前に「元気になれ〜」とか覚えたように。


「戦うのか? 戦わないのか?」

「た、戦います……」


 緊張するなぁ。

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