表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第五部 ようやく王都シルバースター! 十三章 花の都
185/377

重要会議1



「えーと、初めまして。かーくんです。恐悦至極きょうえつしごくとか言うべきなのかな? すいません。平民なもんで」

「よいよい。子どもは儀礼などこだわらずとも。さ、ここに座すがよいぞ」


 子どもじゃないんだけどなぁ……。


 僕はアンドーくんと並んで、長卓の一端の席についた。


「安心しろ。ここには信用できる者しかいない。だから、すべて正直にわが王に報告するがいい」と、ワレスさんが言う。


「どこから話しましょう?」

「そうだな。始めに勇者と出会ったところから」

「長くなりますけど?」

「ざッとでもいい。おれが聞いておきたいんだ。なんでもなさそうなことが謎を解く鍵かもしれない」

「謎?」

「なぜ、とつぜん魔王が復活したのか。魔王の正体とはなんなのか」


 うーん。ワレスさんの口から魔王って聞くことになるとは。

 ワレスさんの話にも魔物は出るけど、シリアスなミステリーファンタジーで、ゲーム要素なんかゼロなんだけどな。


 とは言え、情報はわけあわないとね。

 ワレスさんは優秀な探偵だ。僕の兄ちゃんも優秀な探偵だけど、謎解き合戦したら、どっちが勝つかなぁ?


「わかりました。じゃあ、話します」


 これは僕の見てる夢だ——と言ったところで、そこは信じてもらえないだろうから、とばすことにする。


 始まりの街であるミルキー城の城下町で、財布を忘れたまま買い物しようとして、逃げだしたところで蘭さんに出会ったことから、今にいたるまでの経緯を、僕の書いたこの小説を見ながら説明した。

 サンディアナでの攻防のあと、廃墟で見たことは、とくに念入りに。

 ただし、猛が裏切りのユダだってことはナイショにしといた。じゃないと、けっきょく夢のことも話さないといけなくなるし。


「なんと、人間をモンスターに。恐ろしいことをするものだ。これまで我々はそうとは知らず、人間同士で争っていたのか」と、コーマ王は悲しげな顔をする。


「ナッツのお母さんみたいに、あんまり長くその魔法にかかってると、魔法が解けたあとも目が覚めなくなってしまうんです」


 その話も王様たちには衝撃だったようだが、ワレスさんは一人、別のところに関心を持つ。さすが、推理王。


「その城、廃墟になる前は誰の城だった?」

「ハッキリとはわからないんですけど、絵本を持ち帰ってきました。ほかにも、その城の図書室にあった本を何冊か。これなんですけど」


 僕がミャーコポシェットから出すと、みんなはとびつくように本をめくった。


「なかなか興味深いことが書かれていますね。調べれば、場所の特定もできるかもしれません」と言ったのは、どこからどう見ても少女の司書長。これで五十代か。

「これらの本はわたくしどもが預かってもかまいませんか? 司書が総力で分析してみます」


 コーマ王がうなずいた。

「うむ。任せたぞ」


 僕はしゃしゃりでた。出るよ。ゲームクリアしないと帰れないからね。


「じゃあ、わかったことは僕にも教えてください。ナッツたちも迎えに行かないといけないし。それと、もしも廃墟の場所が特定できて、精鋭をつのって出兵することになったら、僕も参加させてもらっていいですか? グレート研究所長だけは、なんとしても倒したいんです!」


 ふたたび、王様がうなずく。

「よかろう」


 寛容な王様でよかった。

 会議はさらに続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ