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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第五部 ようやく王都シルバースター! 十三章 花の都
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ボイクド城



 ボイクド国の王城は、その昔、砦だったという。古い時代には、ここが国境の果てであり、深い森のなかにある要塞ようさいだったのだ。

 だから、お城は灰色の石でできた頑健な造りで、華麗な白亜の城とは言えない。高い物見の塔が四方を守り、何重にもなった高い石塀には、いくつも銃眼が切られていた。


 ああ、感慨深い。

 このお城をめざしてから、ずいぶん長いこと旅してきた気分だなぁ。

 じっさいの日数で言えば、ほんの二週間ばかりなんだけど。


「こちらへどうぞ」


 堅牢な城門をくぐり、なかへ案内される。でも、まだイベント中らしくて、自由には城内を歩けない。クルウのあとをひたすら、ついていくだけだ。


 大きくて複雑なお城だなぁ。

 くねくねと、あっちこっち歩いて、やっと三階の部屋についた。


「ワレス隊長。つれてまいりました」

「ああ。入れ」


 カチャリとクルウの手でドアノブがまわされ、扉がひらく。

 明るい陽光のふりそそぐ窓をバックに、その人がすわっていた。

 わあっ、やっぱり何回見ても感動するなぁ。僕の英雄〜

 日差しを受けたときの金髪はズルイでしょう。綺麗だなぁ。肩にこぼれるブロンドが黄金のようにまばゆい。

 あいかわらずの美形っぷりに惚れ惚れしてしまう。

 女の子も金髪碧眼だと萌えるから、やっぱ、こういう造形が好きなんだなぁ。しみじみ。ん? ワレスさんは男だけどね。なんか特別。


 ワレスさんは僕を見て笑った。

 ふへへ。


「わが国の国王陛下の前だぞ。気をひきしめろ」


 あっ。コーマ伯爵もいたのか。

 この世界では伯爵じゃなくて国王なんだけど。僕の小説のなかでは国境のボイクド砦の城主で伯爵だ。

 黒髪で黒い瞳の……まあふつうに整った人。俳優で言えば、竹内涼真とか、松坂桃李とかかな。

 えっ? ふつうじゃない? 充分、イケメン? そうなんだけど、だって、ワレスさんのあとじゃ、どんな人でもふつうに見えるんだよ。そんぐらい群をぬいた美青年なんだよぉ。でへへ。


「よいではないか。そなたが、かーくんか。さあ、ここへ来てすわりなさい。そなたの話を聞かせてくれ」


 コーマ王は物腰のやわらかい、いかにもおぼっちゃん育ちのおっとりした人だ。

 うん。これも想像どおりだなぁ。


 そこは会議室のようだった。

 長卓が一つ部屋のまんなかに置かれていて、そこに王様とワレスさん、あともう二人。

 一人はたぶん、ガロー男爵だ。小説のなかではコーマ伯爵の幼なじみで親友。

 もう一人は……もしや、司書長なんだろうか? 栗色のストレートの髪を肩の下まで伸ばした色白の可愛い女の子なんだけど、この人はワレスさんのシリーズのなかでも、まだネットに公開してないさきの部分に出てくる。永遠の十五歳に見えるものの、実年齢はワレスさんのお母さんくらい。魔法使いたちの長をしてる。


 そうか。お城のブレーンが集まってるってことか。

 とりあえず、背筋のばそう。

 ニヤケすぎてた。

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