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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十二章 ノームとの出会い
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蘭さんからの手紙



 竜鱗のよろいは三村くんにプレゼントすることにしよう。早く会えないかなぁ。あっ、破魔の剣ももう卒業したから、あげてもいいな。


 そのあとギルドに二百万寄付をして、薬草などの消耗品をたっぷり買って、さてと、蘭さんたちはどこにいるのかな?


「えーと、アンドーくんはロランたちが逃げてくのを見たんだよね?」

「うん。街から出てく馬車を見送ったけんね」

「どこ行ったのかなぁ? やっぱり王都?」

「だと思うけど、どげだやら。わはすぐに、かーくんのあと追ったけん」

「そうかぁ」


 僕らが話していると、フラウさんに声をかけられた。


「あの、お仲間とはぐれたんですか?」

「あっ、どうも。そうなんですよ」

「お仲間といっしょに預かり所を使ってないんですか?」

「えっ? どういうことですか?」

「預かり所っていうのは、パーティーとして登録されたメンバーが、共同で持ち物を出し入れできるんですよ。だから、わたしたちもよく、パーティーを二つにわけたときなどに、連絡の受け渡しに預かり所を使ってましたよ。手紙を預けておけば、離れていても情報を交換できますし」


 そうか。ボイクド国のなかなら、サンディアナ以外にもギルドがある。

 もしかしたら、蘭さんたちが、どこか別の場所から、僕らに手紙を残してくれているかもしれない。


「フラウさん! 預かり所で僕の仲間から何か預かってないか、調べてもらっていいですか?」

「はい。お待ちくださいね」


 階段をかけあがっていくフラウさんのあとを、僕らは追った。

 二階の中央の広間の片すみ。

 フラウさんがカウンターの向こうに入って、書面を調べた。


「あっ、ありますよ。預かり台帳に、パーティー・ロランっていうボックスがあって、かーくんさんもメンバーに入っています」

「何か預かってますか?」

「手紙ですね。受けとりますか?」

「はい!」


 蘭さんからの手紙だった。



『かーくん。アンドー。無事ですか? 僕たちは今、ボイクド国の王都シルバースターをめざしています。これを書いているのは、途上の街のフィリンドです。馬車で移動しているので、数日で王都に到着するでしょう。予定どおりボイクド城へ向かいます。かーくんたちもこの手紙を見たら、王都へ来てください。もしも、それができない事情があれば、ギルドに手紙を預けてください。必ず、僕やシャケが助けに行きますから。再会できる日を心待ちにしています。ロラン』



 胸が熱くなるなぁ。

 僕とロランはついこの前、ぐうぜん出会ったばっかりなのに、ちゃんと仲間だと思われてるんだ。

 僕のほうは現実でも友達だからさ。もちろん、仲間だと認識してるわけなんだけど、ロランにとってはちょっと前まで見ず知らずの人だったはずなのに。


「ロランたちは馬車で王都に向かってるって。この手紙を預けた日付が二日前になってるから、たぶん、サンディアナを出ていった日の夜に、フィリンドって街についたんだ。僕らが追いかけるなら、馬車より速い乗り物じゃないとね」


 それを聞いて、フラウさんがアドバイスしてくれた。


「じゃあ、汽車はいかがですか? 一階の受付でチケットを購入できますよ?」


 あっ、そうだ。

 この世界には、すでに汽車があったんだっけ。


「ありがとうございます! そうします」


 僕は汽車で王都に向かうむねを手紙に書いた。

 預かり所って便利だな。いったい、どうやって手紙や品物を別の場所に一瞬で送ってるんだろ? 魔法かな?


「よし。じゃあ、王都まで汽車の旅だー! 楽しみだね」


 蘭さん、ワレスさん、待っててね。

 かーくんは今、行くよぉ〜




 第四部 完

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