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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十二章 ノームとの出会い
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帰ってきました! 文明圏!



 選択できる移動場所は、マーダー神殿とサンディアナの二ヶ所だけだった。

 僕がこの帽子を手に入れて、移動魔法を使えるようになったのが、マーダー神殿だからなんだろう。

 フェニックスに会った朝日の崖や、竜の岬にも行けるけど、今はダンジョンに入りたい気分じゃないんで。


「じゃあ、行くよ? サンディアナへ!」


 僕らはかたまりになって空間を飛んだ。

 シュッと景色がゆがみ、次に現れたのは——ああッ! 街だー! サンディアナだぁー!


「帰った! 帰ってきたよぉー!」

「帰ったね! 戻ってきたが!」

「キュイ〜」


 人間が歩いてる。

 それだけのことが、こんなに嬉しいなんて。やっぱり人間は群れで暮らす生き物なんだなぁと実感。


 こう見た感じ、先日のキャラバン襲撃の爪痕は、すでにない。家屋などが破壊されるにはいたってなかったようで、火の手も早めに消しとめられたんだろう。

 最初にこの街に来たときと、ほとんど何も変わっていない街並みだ。


「よかった。大きな被害はなかったみたいだね」

「うん。この街はガイな街だけん、冒険者がいっぱいおっただね。守りがしっかりしちょったみたいだが」


 僕らは何はともあれ、街の中心部へ走っていった。ギルドにとびこむ。

 ギルドの人たちは僕らを見て、急いでかけよってくる。

 受付のお姉さん、武器屋のソウレさん、防具屋のペリペンさん。ルベッカさんやフラウさんも二階からおりてくる。


「兄ちゃん! よく無事だったな! あんた、キャラバンにさらわれたって話だったぜ?」


 口調だけ聞くと男みたいなんだけど、とびついてきて、豊満な胸に僕の顔をうずめてくれたのはルベッカさんだ。

 むふふ。役得ってやつですねぇ……。


「さらわれました! まあ、わざとではあったんですけど。それで、たった今、逃げだしてきました!」

「自力で逃げてきたのか? そりゃスゴイ。ねえ、ソウレ。あたしたちが現役のときだって、そこまで無謀な冒険できなかったよね?」

「ああ」


「ケガはしてない? 大変なめにあわなかった?」と、眉をひそめて心配してくれたのは、フラウさんだ。

「よければ、わたしの回復魔法で治しますよ?」

「ありがとうございます! でも、大丈夫です。それより、みなさんに——というか、ギルドに報告があるんです! 僕らの話を聞いてください」


 僕らのもたらした報告が、ギルドに激震を走らせたのは言うまでもない。

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