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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十二章 ノームとの出会い
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滝の下



 とにかく、ぶじに滝の下までついた。

 僕は急いで、あたりを見まわす。


「おーい、アンドーくん? たまりん?」


 たまりんはすぐに、ふわふわとよってくる。表情は読めないけど、とくにケガとかはなさそう。

 心配なのはアンドーくんだ。

 猛のやつ、なんでアンドーくんのことも助けてくれないんだよぉ。僕一人で精いっぱいだったのかな?


「アンドーくーん? どこ? おーい、返事できないのかなぁ?」


 ふつうに考えたら、羽のない人間に、この大瀑布を急降下しろ、または泳いで渡りきれと言うのは、「死んでくださいね」と言うのと同義だ。

 僕に起きた奇跡が猛だったことを考慮すれば、アンドーくんはそのまま滝つぼに落下……アーメン?


 急激にアンドーくんの安否が案じられてくる。


「アンドーくーん!」


 すると、ようやく、

「かーくん。ここだわ」


 返事があった。

 見まわすと、滝つぼから半身を乗りだして、アンドーくんが岸にしがみついている。よく無事だったなぁと感心したものの、よく見ると、アンドーくんは一人じゃない。まわりにキレイな女の人が何人もいた。

 なんじゃこりゃ? ハーレムか?


「えーと……」


 その人たちは?——とたずねようとすると、女の子たちは笑いながら去っていった。《《水中に》》だ。銀色や真珠色の魚の尻尾が、ちゃぷんと水底に沈んでいく。

 に、人魚……?


「今のは?」

「ああ、わが困っちょうと、近くにおう女の人が助けてごすけん。あれはこの滝周辺に住んじょうウンディーネだと思う」

「えっ? なんで助けてくれるの?」

「得意技だけん」

「ああっ、あの、モテメンってやつ?」

「うん」

「人でもモンスターでも、女なら誰でも助けてごすよ」


 ええー? 何それ?

 うらやましいんですけど。

 まあ……いいけどね。僕には兄ちゃんがいるから。


 これで全員、崖下まで到着できた。

 これを奇跡と言わずして、なんと言おう。

 ん? アンドーくんの得意技で、最初からなんとかならなかったんだろうか? 僕のことは助けてもらえないのか? アンドーくんだけか。そうか。


 周辺をあらためて見ると、滝つぼの脇に僕らが立ってる岩場がある。そのまわりはすぐに海になっていて、陸地はどこにも続いていない。島(または大陸)の最果てのようだ。


 僕はドキドキしながら旅人の帽子に手をかけた。

 どうか。魔法が使えますように。

 じゃないと、ここで、いつ来るかわからない船が通りかかるのを延々と待ってないといけないよ?


 旅人の帽子を高くかかげる。

 お日さまがちょうど帽子の影になる。帽子の外輪にこぼれる金色の光に、僕は希望を見た。


 ヤッター! 使える。

 移動魔法が使えるぞっ!

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