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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十二章 ノームとの出会い
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ウサギと猫



 バケトラは前足を高くもちあげると、ぽよちゃんめがけてふりおろす。

 そして——ちょけた。

 つまり、ぽよちゃんに対して、丸めた前足をちょこちょことひっかける。猫パンチですらない。

 猫が弱ったネズミにやる、あの仕草である。


「ああ……じゃれるって、まんまじゃないかぁー!」

「かーくん。このバケトラ。遊んどるんだないの?」

「そう見えるよね」

「首にリボンもついとるし、飼い猫みたいだがね」

「うーん。リボンしてるね」


 ほんとにコイツはバケネコなのか?

 可愛いじゃないか。


 とはいえ、興奮しすぎて、つい力が入り、獲物を殺してしまうことだってあるかもしれない。


「ぽよちゃん。はねる連続で!」

「キュイ〜!」


 ぽよちゃんは、はねた。

 ピョコピョコピョコピョコ。ピョココピョコピョコ。

 素早く、高く。

 ピョココピョコ。


 ぽよちゃんの動きを目で追っていたバケトラのようすが、だんだん、おかしくなってくる。

 目をまわしかけてる……のか?


「ぽよちゃん。そのまま、バケトラのまわりを円形に走りまわってみて」

「キュイ〜」


 ぽよちゃんは走った。

 タタタタタタ。スタタスタタ。


 頭をまわして、ぽよちゃんの動きをとらえようとするバケトラの目が、グルグルと、グルグルと……。



 バケトラは倒れた。

 50の経験値を得た。50円を手に入れた。トラネコのリュックを手に入れた。



 テロップが告げると、バケトラの姿が小さくなっていく。

 これは——カバンじゃないか!

 ミャーコポシェットによく似た感じのトラネコ型のミニリュック。

 四次元ポケットくさいぞ。


「リュックが本物の猫になってあばれてたのか」

「かーくんのポシェットも走るけんね。魔法でできたものかもしれんね」

「そげだね」


 ハッ! 僕はまた出雲弁を!

 早く蘭さんたちと合流しないと、完全に出雲人になってしまう……。


「可愛いけど、カバン二つもいらないなぁ。四次元ポケットだから無限に入るし……そうだ!」


 僕は思いついて、リュックをぽよちゃんに背負わせた。ミニリュックがミニミニリュックになって、ぽよちゃんにほどよい大きさになった。トラネコを背負う幼稚園児のコスプレのウサギだ。ビックリするぐらい可愛い!


「よくわからないけど、何かに役立つかも。じゃあ、行こうか」


 バケモノも退治したし、いよいよ滝だ。

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