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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十二章 ノームとの出会い
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バケモノというか



 コレか。

 こいつが平原のバケモノか。

 バケモノ……?

 見ためは、ものすっごく大きなトラジマの猫だけどね?

 まあ、全長十八メートルは大きいよね。そのうち尻尾の長さが八メートルくらい。


「なんで、猫がこんなに大きいんだろ?」

「化け猫だない?」

「なるほどぉ。サイズ的にノームが獲物としてちょうどネズミっぽいんだろうね」


 僕らはコイツの獲物にしては、ちょっと大きいから、なかなか寄ってこなかったのか。


 音楽が切りかわった。

 でも、むしょうにメルヘンチック。

 この曲には聞き覚えがある。

 コビットたちと戦ったときだ。

 ということは、もしかして楽勝なのかな?



 野生のバケトラが現れた!



 戦いますか。


「じゃあ、いつもどおり、アンドーくんは、みんな巻き。たまりんは小悪魔のハープを使いつつ、ピンチのときには回復魔法で。ぽよちゃんは……」


 どううしようかなぁ。

 ためるだと、バケトラの獲物にされそうなんだよな。ぽよちゃんもノームたちのように、バケトラにとってのネズミサイズ。


「とりあえず、聞き耳ね」

「キュイ」


 ふむふむ。ぽよちゃんのお耳がピクピクすると可愛いって? それはもうわかってる。

 違う。違うぞ。かーくん。

 ぽよちゃんのお耳がピクピクすると、バケトラの行動パターンが読めた。

 けど、なんなんだ?

 じゃれる、しかないんだけど?


「じゃれるって何するんだろ? 数値はHP以外、平均的でそんなに高くない。HPだけ高いタイプね。ま、いっか。ちょっと戦ってみよう。ぽよちゃんは通常攻撃ね」

「キュイ!」


 なので、さっそく、ぽよちゃんの攻撃二連続!

 妖精のネイルがキラキラと鱗粉のようにきらめくと、バケトラの目の色が変わった。胸毛にバッテンの傷をつけられたのに喜んでる。


 フニャフニャ言って、お尻を持ちあげフリフリしてる。興奮してるな。これは、うちのミャーコがネズミを見つけたときの仕草。やっぱり、ぽよちゃんに目をつけたか。


 ぽよちゃんが食べられちゃうと大変だ。なんとか、攻撃をかわせないものか。

 そうだ。さっき、ぽよちゃんは“はねる”が使えるようになったんだよね?

 はねるって、けっきょく、どんな技なんだ?


 気になったときは見るにかぎる。

 ステータスはレベル20になってる。

 HP105、MP46、力42、体力44、知力60、素早さ92、器用さ70、幸運100。

 マジックは前と同じだ。

 得意技のはねるの文字が明るい。はねる(ランク1)だ。

 長押しすると、こう書いてあった。


 とびはねて自分の素早さを極限まで上げる。回避率と素早さが50%上昇。かさねがけ可能。


「あっ、回避率が上がるんだ。ぽよちゃん、次のターンは、はねるを連続して」

「キュイ」


 しかし、今のターン、ぽよちゃんの行動は終わった。

 アンドーくんが「みんな巻きで行こう〜」と叫んだので、僕は精霊王のレプリカ剣を水平ににぎって、バケトラの背後にまわった。お尻フリフリしてる、うしろ足を狙う。サクっと行ったあと、ボーッと炎が勢いよく燃えあがる。


「ニャッ!」


 あっ、ごめん。

 猫いじめるの、かわいそうだなぁ。

 でも、ノームが食べられるのもかわいそうだし。

 世の中ってのは、うまくいかないもんだね。ふっ。


 たまりんは小悪魔のハープでポロポロと音階を奏でる。耳の奥をひっかくような音がする。不快なような、そのくせ快感のような。小悪魔っぽい音だ。


 バケトラはますます興奮した。

 ああ、これは海鳴りのハープのほうがよかったかな?



 バケトラの攻撃。

 じゃれる!



 ……これが、“じゃれる”か?

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