表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十二章 ノームとの出会い
166/377

代償がいるんですね



 かたく手をにぎりしめ、熱い約束をかわす僕らだったが、よこから長老が口をはさんだ。


「そういうことだば、南の平原のバケモノを倒してくれんだばか?」

「えっ? バケモノ?」

「んだば。じつは、南の平原の端に、わしらの大事な鉱脈があるだば。だけど、このところ平原に住みついたバケモノがおって、採掘に行けんだば。村民はみんな困っとるだば。バケモノを退治してくれれば、わしらはあんたたちだば、深く感謝するだばだば」


 なるほど。だから、長老、あんな地下水道なんかにいたんだな。かわりの鉱脈を探そうとしてたんだ。

 もしかして長老、最初からそのつもりだったのか? 僕らにバケモノを倒させようと?

 まあいい。

 異種族のナッツやナッツのお母さんを預かってくれるっていうんだ。そのくらいのお礼はしないとね。


「わかりました。やります。でも、出発は明日の朝でいいですか? 今日は夜通し戦って疲れたし、村のなかも見物させてもらいたいし」

「かまわんだば。ぜひ、倒してくれだば」


 そんなわけで出立は明日になった。

 うまくすれば、明日にはやっと人間のいる世界に帰れる。蘭さんたちにも再会できるかも。


 僕らは長老の家を出て、村のなかを歩きまわる。光るツボとか探してね。

 あと、こんなときしか言葉が通じないから、一人でもたくさんのノームから話を聞きたい。


「知ってるさぼ? 南の平原のバケモノは、それはそれは大きなシマシマの獣なんだってさぼ」


 ここでも“知ってるかい”が聞けるとは。知ってるかいは種族を超えた。


「平原のバケモノは、わしらを見つけると、どこまでも追いかけまわしてくるだば」


 一つわかったぞ。

 ノームたちのさぼさぼ、だばだばは、女の人が“さぼ”で、男の人が“だば”だ。日本語で言うところの、「わたし、知ってるわ」とか「おれも見たぞ」とかみたいなものなんだろう。男言葉、女言葉ってやつだ。


 ほかにもこんな話が聞けた。


「あの廃墟のどこかには、とんでもないお宝が眠ってるらしいだば」

「変な連中があの廃墟を出入りするようになったのは、三年前くらいからだば」

「グレート研究所長というのはブタの魔物なんだばが、毎晩、鏡をのぞきこんでウットリしとるってウワサだば」

「わしらノームはみんな金銀細工の細工物が得意なんだば。けども、村一番の細工師はグバディだば。あいつなら、どんな神具でも瓜二つにマネすることができるだばよ」


 ん? 精霊王のレプリカ

 ちょっと気になる。


 しかし、それよりも糸をつむいでいたおばあちゃんの話は、もっと興味深かった。


「あの廃墟のお城にはさぼ。その昔、とても美しい女神様と、勇ましい男神様が住んでいらしたのさぼ。だけど、あるとき女神様がとつぜん姿をお隠しになってさぼ、男神様は嘆き悲しみ、そのあと怒り狂ったという言い伝えさぼ。あのお城が廃墟になったのは、男神様の呪いだとか」


 それって、あの古い絵本の話の続きなんだろうか?

 美しい女神様と四柱の神様の物語。

 あの廃墟には重要な手がかりが残っているのかも……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ