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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十二章 ノームとの出会い
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深淵の滝



 ナッツのお母さんの処遇も決めなきゃいけないんだけど、そのためには情報が必要だ。


 僕らはノームのお母さんが出してくれた、塩からいベーコンとウズラの卵の目玉焼きと、とろっとろのチーズをはさんだバケットサンド、芳醇ほうじゅんな香りのオレンジ色のお茶をごちそうになりながら、ノームのおじさんから話を聞きだした。ちなみにおじさんはノーム村の長老だった。


「僕たち、人間界に帰りたいんです。どうやったら帰れますか?」

「今は廃墟になっとるだば、あのお城を中心に、この土地には移動魔法を禁ずる結界が張られておるだば。南の端の滝からとびこむしか、この土地を出ていく方法はないだばだば」

「た、滝?」

「深淵の滝と呼ばれておるだば」

「深淵の……」


 くわしく聞けば聞くほど、それはナイアガラの滝に匹敵する勇壮な瀑布ばくふだとわかった。

 ナイアガラに飛びこむのか……。

 清水の舞台より高いよね。


 まあ、それしか方法がないと地元民に言われればしかたがない。

 これはストーリー進行上さけては通れない道なんだと思う。


 ただ、そうなるといよいよ、ナッツのお母さんをつれていくことはできない。生きてる僕らでさえ危険きわまりないのに、意識のない仮死状態の人を滝つぼになげこむなんてできないよ。


「ナッツのお母さんは、残念だけど、これ以上、僕らの旅につれていけない」

「そげだね。いくら仮死状態でも、おぼれて、ほんのこと息が止まってしまあかもしれん」

「でも、オレは母ちゃんといっしょでなきゃイヤだ!」


 それは当然だろう。

 子どもなのに三年ものあいだ離ればなれになっていたお母さんと、やっと会えたんだ。またもや離れるなんてできないだろう。ナッツはまだお母さんに甘えていたい年ごろなんだから。


 困っていると、ノームの長老が提案してくれた。


「だば、ナッツとナッツの母ちゃんだば、わしのうちで預かるだば。魔法毒が消えるまで、わしと家族で世話していいだば」

「えッ? ほんとですか?」


 グレート研究所長を倒すまで。

 あるいは、滝つぼ以外の脱出方法が見つかるまでだ。空を飛ぶとか、そんな方法を確保できれば、滝に身投げする必要はなくなる。


「ナッツはそれでいい?」

「うん。オレ、まだ子どもで弱いから、兄ちゃんたちといても迷惑かけるしね。ここで訓練して、強くなる!」

「わかった。それまでにはなんとかして、もう一度、この場所に来るよ」

「うん。約束だぜ? 兄ちゃん」

「よし。約束だよ」


 大丈夫。グレート研究所長とは、いつか必ず対決することになる。

 そんな予感がしていた。

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