地下で出会ったのは
「コピコピ。クピコピコ」
「クピピコ。ピコピコピー」
「コピ。クピピコ。クピ」
「コピピ? ピッピコピー」
うーん。なんでこんなことになってしまったんだろう?
僕は目の前でやりとりされる、小人とクピピコの会話を聞きながら頭をかかえる。わからない。会話の内容がまったく、わからない。
とは言え、こっちにクピピコがいてくれたのは、ほんとにラッキーだった。
じゃないと、僕らはこの暗闇のなかから永遠に出られなかった。
坑道にいたのは、どうやらノームだ。
コビット族やイバラの騎士よりは大きいが、それでも僕のひざくらいまでしか身長がない。頭に三角帽子をかぶり、ツルハシをにぎっていた。かたわらにカンテラも置いてあった。
ノームもモンスターの一種ではあるんだろうけど、どっちかっていうと精霊に近い。地下鉱脈に詳しい地の精だ。白雪姫を助けた小人たちは、このノームだったって話だ。比較的おとなしい性質の精霊である。
まあ、それでも僕らだけなら警戒させたんだろうけど、クピピコがそこのところ、しっかり説明してくれたようだ。僕らが火事からコビット族の村を救ったこととか。悪いモンスターからコビットの女の子を助けたこととか。
何を話してるのかはサッパリわからないものの、ノームはうなずいて手招きした。
よ、よかった。これで外に出られる。
細い坑道を出たあと、あの地下水脈ぞいに僕らは歩いていった。
光だ! 光が見える!
前方に丸い光が見えた。
日光だ。お日さまの光だ。
僕らはようやく地上に戻ってきた。
長かったなぁ。地下水道。もう地下は一生ぶん歩いた。
洞くつをぬけると、やわらかい陽光がさしていた。あたりは森だ。春の萌黄が目にしみる。花の香りがした。
ふりかえると、木々のあいだに遠く、あの廃墟が見えていた。断崖絶壁の上に禍々しい姿を見せている。
あそこから逃げだしてきたんだと思うと感慨深い。
「外だ! これで旅人の帽子を使って飛んで帰れます。案内、ありがとう。助かりました!」
僕はお礼を言って、旅人の帽子を手にとった。装備魔法を使おうとしたんだけど、頭上からブーッとエラー音が降ってくる。
「えっ? 何?」
現在地は地図にない地域です。
移動魔法が使えません。
と、テロップが教えてくれた。
ええー! ここまで来て、まだ帰れないの? ウンザリぃー。