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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
二章 シルキー城の一夜
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超絶美青年



 ぼ、僕は夢を見てるんだろうか?

 いや、夢だけどさ。

 僕の夢のなかに蘭さんや猛や三村くんが出てくるのは、まあわかる。

 王様が蘭さんのお父さんの九重ここのえさんにそっくりなのもわかる。


 それにしても、これはなんだ?

 なんで、だって、あの人は僕の想像のなかにだけ存在する産物だ。これまでも夢のなかでは何度か見たことあるけど、それも夢特有のなんとなくぼんやりした感じだった。


 なのに今、緋毛氈ひもうせんをふんで王の間へ入ってきたのは、僕の知ってる人だった。もう、ひとめでわかった。なにしろ、僕は彼の親だ。彼の生まれてからこれまでの生い立ち、素性、気性、学歴、なんなら女性遍歴も、何もかも知っている。貯金の額は計算しないとすぐには言えないが、概算はできる。


 それは僕が書いた小説の主人公だ。

 それも一番たくさん書いて、もっとも長いつきあいの主役。

 たぶん、最初に書いたのは高校二年生のとき?


 長い巻き毛の金髪をなびかせて、キラキラ鱗粉りんぷんみたいに光る、ちょっと不思議なブルーアイズ。

 かっ……カッコイイ。

 うちの兄ちゃんもかなりイケメンだけど、もうそんなんじゃない!

 この人、人間じゃない。

 いや、じっさいそうなんだけど、夢の世界のなかで見ても、めちゃくちゃな美形だ。


 ワレスさんですね。

 えーと、ご存知なきかたは、『ジゴロ探偵シリーズ』や、『墜落のシリウスシリーズ』などをご覧ください。


 うわぁ。スゴイなぁ。

 動くワレスさん。

 白銀のよろいをまとい、金糸の房つきの紫色のマントを羽織っている。

 主役オーラがハンパない。


 もしかして、世界のどこかにいるっていう勇者はこの人かな?

 蘭さんよりは(って言ったら蘭さんに叱られるけど)じゃっかん、男っぽい。背も高いし。細身で手足長い感じは蘭さんと似てるよね。


 見るからに生まれながらの王子様なんだけど、彼は武人らしい美しい立ち居振る舞いで玉座の前にやってくると、そこにひざまずいた。


「ココノエ王。拝謁はいえつしごく。わが名はワレス。ボイクド国の騎士長にございます。らんらん姫を迎えにまいりました」


 あっ、王子様じゃないのか。

 あれ? 王様や蘭さんの顔色が変わったぞ。

 えっと、つまり、これは……。


「わが国の国王陛下のご命令にございます。陛下は姫との婚儀を心待ちにしておいでです」


 むーん。蘭さんがお城から逃げだしたことが、もうバレてしまったのか。

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