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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十一章 研究室の秘密
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あの光のさきには?



 ナッツのお母さんは人間に戻った。

 でも、意識は戻らない。

 フェニックスの灰を使っても、目をひらかない。

 仮死状態のようだ。

 きっと何か特別な方法が必要なのだろう。


「死んではいないみたいだ。うっすらとだけど脈がある。早く教会のあるところにつれていこう」


 トーマスのときのように、ドラゴンのウロコとか、そういうイベントアイテムがないといけないのかも?

 なんにせよ、これで希望は残った。

 なんとかして蘇生させることはできるはず。

 ナッツの表情も明るくなっている。


 アンドーくんがナッツのお母さんを抱えて、僕らはさきに進んでいった。

 人工物のなかからぬけだし、岩肌の洞くつのなかを歩く。


 しばらく行くと、前方に光がゆれた。

 あの光だ。ゴーレム戦に突入する前、僕が人魂だと思った怪しい光。


 でも、近づいていってよく見ると、どうもそんなものじゃない。

 あれは……カンテラの明かりでは?

 この洞くつのなかに誰かいるのか?


 さらに近づいていく。

 すると、歌が聞こえた。

 やけにハイホーハイホーと言っている。カツン、カツンと岩をけずるような音もする。


「あの脇道のなかだね」

「うん。そげだね。行ってみぃか。人がおったら出口を教えてもらえぇよ」


 廃墟はその昔、立派なお城だったようだ。近くには今も村があるのかもしれない。この下水道、地下部分で村の洞くつとつながっているのかな?


 僕らはようやく地下の暗闇をぬけだせる喜びで、疲れも忘れて走っていった。


 脇道は坑道のようだった。

 金鉱かな? それとも炭鉱? 宝石かもしれない。

 坑道なので天井が低いが、なんとか、かがんで歩いていける。

 遠くに人影が見えた。

 やっぱり人がいたんだ。よかった。


「おーい。おーい。助けてくれませんか? 外に出たいんです。出口を教えてもらえませんか?」


 大声で呼びかけた僕はビックリした。

 人影が小さいから、まだまだ離れたところにいるのかと思ったのに、その人の声は思いがけず、かなり近くから聞こえたからだ。


「クピピ? ピッピコクピコピ?」


 ん? こ、これは……この難解な言語は、コビット語では?


 ふりかえったその人は、まさしく小人。身長五十センチほどの小さな人だった。

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