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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十一章 研究室の秘密
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ゴーレム戦!3



 身長五メートルに達する石の巨兵。

 地下空間のなかでは、まさに見あげるばかりだ。天井スレスレまで高さがある。


「うぎゃーっ! コイツ、また出やがったよ、兄ちゃん!」


 ナッツは大さわぎしてるけど、僕には気になることがあった。

 このゴーレムは、もしかして……。

 ほんとに戦ってもいいのか?

 後悔することになるんじゃないか?

 いや、でも、これまでのモンスターは戦闘不能にすれば人間に戻った。

 ってことは、いつもどおりに戦って、勝利することができれば……?


「……よし。戦おう。このまま逃げても、きっと、こいつは追ってくる」



 野生のゴーレムが現れた!



 そうか。野生になったんだ。

 すてられたからか。

 切ない。切ないよ。


「ぽよちゃんは通常攻撃。アンドーくんは、みんな巻きでお願い。たまりんはラプソディー。ナッツはナッツ食べて、防御力あげて」

「了解」

「キュイ!」

「へへっ。ナッツ食っていいんだ。好物なんだよ」


 まずは、ぽよちゃんの通常攻撃!

 ためるのほうが、ターンは必要だけど破壊力はデカイ。

 でも、むしろ、あまりにもダメージが強すぎると、ゴーレムを完全に破壊してしまうかもしれない。

 それは、マズイのだ。

 通常攻撃でも申しぶんない攻撃力がある。ピョンピョンと跳ねて、右腕、左腕に一発ずつ、うさぎパーンチ!

 ゴーレムの腕に亀裂きれつが走る。


 えっ? あっけなさすぎないか?

 もしかして、前の戦闘のダメージがそのまま残ってるんじゃ?


 アンドーくんが叫んだ。

「みんな、巻きで行こう!」


 スッと体が軽くなる。

 僕はようす見で、身を守る。どのくらいダメージを与えるべきか考える。


 たまりんは海鳴りのハープにとりかえて、ポロンと鳴らす。

 ナッツは僕のあげたミックスナッツの袋をあけて、豪快にむさぼりくった。


「ウオーッ! 力が湧いてきたぜぇー! やってやるぜ!」


 ナッツはシルバーナイフをかざすと、ゴーレムに向かっていく。

 僕はハッとした。

 ナッツにゴーレムを攻撃させちゃいけない。


「ナッツ、やめろ! 君は攻撃しちゃダメだ!」

「なんでだよっ?」

「だって、そのゴーレムは……」

「せっかくパワーアップしたのに、なんにもしないなんてできるかっての!」


 ナッツは僕の制止も聞かずに、ゴーレムにとびかかっていく。方針円状にヒビの入ったゴーレムの胸に、シルバーナイフをつきたてた。今度は見事に柄まで刃が通る。


 オオーン!——とゴーレムが泣いた。吠えたのかもしれないが、僕には泣いているように聞こえた。


 ゴーレムは抗いたいのに攻撃の衝動に抗えないかのようだ。亀裂の入った両腕をふりあげる。

 あの攻撃が来る。

 フルスイングアームアタック!


 ナッツがつきとばされた。

 でも、ゴーレムはもう限界のはずだ。

 次のぽよちゃんの攻撃で……。


 えッ? どういうことだ?

 ゴーレムの体が赤く光った。

 そして、続けてフルスイングしようとしている。

 なんでだ。ゴーレムのターンはもう終わったはず。


 僕は急いでぽよちゃんに聞き耳をしてもらった。

 ゴーレムの行動パターンのなかに、最期のバカ力ってのがある。瀕死になるととる行動のようだ。

 ひとことで言えば、死ぬ直前の暴走。ターンに関係なく暴れ続ける。


「ナッツ——!」


 ナッツが二回めのフルスイングを受けた。全ステータスが上がっているとは言え、HPが三分の一にまで減った。もう一回あびれば戦闘不能だ。


 ゴーレムが両腕をふりあげる。

 早く、なんとかしないと!

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