みんなゾンビー!
気がついたとき、僕のまわりはゾンビだらけになっていた。
アンドーくんがゾンビに!
ぽ、ぽよちゃんも!
たまりん……は、もともと人魂か。
ナッツまで腐った死体になって、こっちに迫ってくる。
うわっ。手がもげそう。足も糸ひいてるよ。目玉がはみだしてるぅー!
ギャー! オバケー! こっち来るなぁーッ!
「ギャー! ギャー! ギャー!」
「か、かーくん……?」
「キュイ……?」
ゆら〜り。
「く、来るなってば! ヤダー! ヤダー! オバケー!」
僕は逃げだそうとするけど、なぜかその場から動けない。
むっ? もしや、これは待機行動か?
なんで? まだ僕、攻撃してなかったんだけど。
「かーくん。かーくん。どげしたで?」
「おーい。兄ちゃん」
「キュイ、キュイ……?」
ヒュードロ……。
う、うう……みんながゾンビになってしまった。
いつのまにか、みんな、やられてしまったのか?
すてられた死体、いったい、みんなに何をしたんだ?
ま、まさか、ゾンビって感染るのかな?
某有名映画みたいに?
ウィルスで?
ど、どうしよう。怖いよ。
助けてー! 猛ぅー。
あっ、猛は裏切りのユダなんだっけ。
じゃあ、誰も僕を助けてくれないのか?
ぼ、僕が戦わないといけないのか?
やるしかないのか……。
ブーメランだ!
こういうときは全体攻撃できるブーメランが最適だ!
「わあっ、わあっ! オバケめー! 成敗っ!」
「うわぁっ! かーくん。やめてごしなはい」
「兄ちゃん、何してんだよ! おれたち殺す気かッ?」
「キュイー! キュイー!」
ゾンビたちがあわてふためいた。
さあ、ブーメランをなげるぞ。
僕のクリティカル、いでよ!
「——かーくん! ごめん!」
急に僕はお腹に衝撃を受けた。
アンドーゾンビが短剣で、僕のみぞおちを突き刺してきた。
トドメ発動ォー!
僕は気を失った。
チャラララッチャッチャー!
ん? 目がさめると、目の前にアンドーくんが立っている。ぽよちゃんやたまりんも心配そうにのぞきこんでる。
「かーくん? 大丈夫だ?」
「あれ? アンドーくん?」
アンドーくんは……えっと、ゾンビじゃない。ほっとした表情で吐息をついた。僕も、ほっとした。
「よかった。かーくんがもとに戻った」
「ええっ? 僕はずっと、ふつうだったよ? みんなが急にゾンビになったんだよ?」
「わやつは誰もゾンビになんかなっちょらんよ。それ、たぶん、幻覚だない?」
「幻覚?」
「うん。幻覚。ゾンビのくさい息にやられえと、幻覚になぁが?」
「ええっ? じゃあ、あれ、幻覚だったの? でも、まだ僕の攻撃だったよね? ゾンビのターンじゃなかったんだけど」
「それ、のっとるっていう技だと思うわ。相手の攻撃のときに、順番をのっとって、自分の番にしてしまぁみたい」
うーん。ゾンビ、あなどれない。