表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十一章 研究室の秘密
150/377

下水道にはゾンビです



 ふりかえると、そこに、いかにも腐乱した死体が立っていた。

 青く変色した肌。

 くずれたお肉。

 目玉がこぼれおちそう……。


「ギャーッ! 出たー! オバケッ!」

「かーくん。あれはモンスターだが」

「出たー! キライ。怖い。汚い。くさい。ヤダ。ヤダ。あっち行けよぉー!」

「か、かーくん……戦わや」

「ヤダー! ヤダー!」


 テロップ。テロップ。流れる。流れる。



 野生のすてられた死体が現れた!

 野生のブッキーが現れた!



 ギャー! ギャー! すてられた死体!

 オバケー! オバケー! オバケー!

 はぁはぁ……ちょっと疲れてきた。

 ふつうに戦おうかな。


「かーくん、巻きで行く?」

「今は五人だから、大丈夫。ぽよちゃんも戦えるし。ぽよちゃん、聞き耳してくれる? ゾンビの数値が見たいなぁ」

「キュイ!」


 お耳ピクピク〜

 はぁ。いやされる。

 戦場のオアシスやぁ。


 ゾンビ=すてられた死体のステは……HPと攻撃力高めで防御が低い。素早さはうんと遅く、行動パターンは、のっとると、くさい息。くさい息は毒、マヒ、幻覚のいずれかの状態異常をランダムに起こす特殊攻撃。


「よし。じゃあ、ぽよちゃん。本から倒して」

「キュイ〜!」


 ザックザックと切りさかれるブッキーたち。ぽよちゃんにかかれば、あっというまに残骸に。赤い本と青い本が倒れた。


「燃えろ〜」


 アンドーくんが黄色い本を倒す。

 ヤツらは弱点の属性をついた攻撃魔法の前には、もろい。


 残るは、すてられた死体。

 そのネーミングから察するに、実験に失敗したかどうかして、ここに廃棄されたんだろう。


 うーん。かわいそうだけど、ここまで腐ってしまった死体を生き返らせることはできない。ごめん。成仏して。


 僕はひさしぶりに破魔の剣をかまえる。ブーメランより攻撃力が高いから、単体にはこっちだ。


 タタッとかけよったものの、近くで見ると、スゴイ迫力だなぁ。

 死体感ましまし。


 僕はついつい、攻撃をちゅうちょした。どこを切っていいのかわからない。首を落とせば動かなくなるのかな? それとも心臓?

 何がイヤって、剣が汚れそうでイヤなんだよな。

 でも攻撃しないことには倒せないし。

 魔法で倒したほうがいいのかな?

 魔法ならさわらなくてすむ。

 あッ。僕、攻撃魔法って「破魔の剣〜」しかないか。


 ためらっていると、死体が「アガーッ!」と叫んだ。

 うわッ。くさい。口臭エチケットがなってない!


 僕の意識は遠のいた……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ