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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
二章 シルキー城の一夜
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いよいよ、王の間へ



 王の間って、たいていイベント始まるから、いつもゲームでは最後に行くことにしている。


 地下から上がって、屋上から外をながめてみたり、昔、兵隊だったっていうおじいさんから皮の盾を貰ったり。

 三階建てのお城なんだけど、三階に元王様の部屋、お妃様の部屋。

 なかは無人だった。


 王様の部屋には、今のお妃様の肖像画が飾ってあった。めちゃくちゃ美女だ。蘭さんのほうが、より美しいけど、それにしても三度見するような美女。


 でも、枕元に小さな肖像画が隠すように置いてあって、蘭さん似の美女にくらべたら、かなり地味な感じの女の人が描かれていた。


「それは亡くなった前のお妃様です」


 うわッ。ビックリ。

 いたのか。メイドさん。


「ココノエさまは今のお妃様のことをたいへん愛していらっしゃいますが、亡くなったお妃様のことも大切に想っていらっしゃるんです」

「そうなんだ」


 なんか、蘭さんの家庭というより、うちのじいちゃんみたいな関係だな。うちのじいちゃんは大恋愛した最初の奥さんが亡くなったあと、かなり年下のばあちゃんに猛アタックされて再婚した。

 蘭さんちのパパは蘭さんのお母さんと初婚で一回きりしか結婚してないんだけど。

 ゲーム的に複雑なほうが面白いってことか。それか、夢のなかなので、僕の記憶がいろいろ、まざってる。


 ついでに蘭さんの部屋も見たけど、なんか変なんだよね。

 クローゼットのなかに、ものすごい高そうな剣とか隠してある。

 で、こっちのメイドさんは、こう言った。


「らんらん姫はあれほど見目麗しいのに、とんでもないオテンバ姫なんですよ。お小さいときから、剣術が大好きで、馬にも乗るし、弓矢も大得意」


 うーむ。これは、やっぱり、じゃないのか?


「かーくん。もう全体、見てまわったんちゃうか? そろそろ王様に会いたいわ」

「そだねぇ。じゃあ、行こうか」


 いよいよ、僕らは謁見の間へ行くことにした。



 *


 王の間——


 ほえー。

 これが王様の職務室。

 謁見の間かぁ。

 スゴイなぁ。ピカピカだなぁ。

 立派な柱に彫像。

 銀の燭台。

 緋色の毛氈もうせんね。

 典型的なお城のなかだぁ。


 玉座は三つあった。

 王様、お妃様のまんなかにちょっと小さい椅子があって、蘭さんが座ってる。ドレスも豪華なやつに変わっていた。

 やっぱり、着替えちゃったか。さっきのドレス、ぶんどっとけば……いや、そんなこと考えちゃいけないぞ、薫! 友達だろ?


 ちなみに蘭さんは黒髪の美女だ。現実では前髪長めの肩にかかるかかからないくらいのセミロングヘア。

 でも、この世界の蘭さんは長い髪をアップにしてるんで、完璧、女性に見える。それも、とびきり麗しい女性だ。

 残念。これが男の娘なのか……そうなのか?


「あっ、父上。母上。これが僕を助けてくれた、かーくんさんです」


 助けてもらったの、こっちだけどね。


「おお、そなたが、かーくんさんか。よくぞ、わが大切な姫を助けてくれた。近うまいれ。礼をつかわそう」


 えッ? お礼、くれるの?

 いそいそ。いそいそと、玉座の前に膝を折る。へへへ。何くれるのかなぁ? 武器か防具だといいなぁ。


「さっ、これだ。そなたの旅に役立てるとよいぞ」


 そして、ドサッと渡されたのは、毒消し草五十枚セットだった……。

 どんだけ僕を毒まみれにさせる気?

 まあ、いいや。そのうち、役立つかもしんない。


「ははぁ。ありがたき幸せ」とかなんとか、僕はてきとうにあわせた。

 忖度そんたくこれ大事。

 大人社会を生きていかないとね。


 と、そのときだ。

 王の間の扉が外からひらかれた。

 何やら、ぞろぞろと行列が入ってくる。


 こ、この感じ。

 イベントが始まるぞ。

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