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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十一章 研究室の秘密
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はいよる恐怖……的な?



 ピトピトピトピト——

 ザアザアザアザア……。

 したたる水滴と流れる下水の音がたえず耳につく。


 なんだかなぁ。

 どうして僕らって、やたらと地下とか洞くつばっかり歩いてるんだろう?

 暗い! 暗いよ。視界が暗い。


 同じ暗さでも、ホワイトドラゴンの洞くつはさ。もっとこう神秘的なふんいきがあって、潮騒が優しく耳をくすぐったんだよね。


 なのに、なんで、ここはこんなに不気味なんだろう?

 あっ、そうか。BGMが違うからか!

 イヤな感じのやつかかってるぅー。

 ドロドロした、何かが闇のなかから這いよってくるような……。


「それにしても袋小路が多いねぇ。地図描きながらじゃないと迷うよ」

「かーくん。そっちはさっき行った道だが?」

「あっ、そうだった?」


 水路。側道。分岐点。アーチ形の天井。それを支える柱。

 どっちを見ても似て見える。


「わがチョーク持っちょうけん、印つけながら歩かや」

「うん」


 分岐する道に出るたびに、進んでいく道には斜線を一本、そこが袋小路だったときには、ひきかえしてきたときに斜線を足してバツ印にした。


「あッ! 宝箱だ。ミミックかな?」

「どげだやら」

「僕があけるよ」

「ああッ! ズルイよ。兄ちゃん。おれだって、お宝欲しい!」

「ナッツに装備できるものだったらあげるよ。僕は買えるからさ——って、魔法カード三枚セットか。赤、青、黄色。三人でわけよう」

「兄ちゃん……さっきから大金拾ってるけど、なんで?」

「あっ、これは僕の得意技だから」

「ズルイー! おれもその技、使いたいー!」

「使いたいって言われても、得意技は人それぞれ決まってるから」

「ちぇっ。おれのなんか、てんで金儲けにならないや」


 えーと、ナッツの得意技って、ナッツだっけ。


「ナッツの得意技の“ナッツ”って、なんなの?」

「戦闘中にナッツ食ったら、全ステータスが二倍になる」

「えッ?」

「あっ、戦闘中以外でも、力だけは倍になるよ」


 なんで、それをさっきの戦闘前に言っといてくれなかったんだ。ミックスナッツの袋、持ってたのに。


「じゃあ、天涯孤独は?」

「えーと、おれ以外のパーティーメンバーが、みんな戦闘不能になったときに、全ステータスが三倍になる」

「さ、三倍っ?」

「うん。三倍」


「じゃ、じゃあさ。もう一個、得意技あったよね? あれは?」

「ああ。思い出ね。父ちゃんや母ちゃんが生きてたころのさ。楽しいことを思いだすと、全ステータスが二倍になる」

「たしか、魔法も全ステータスが上がるんだよね?」

「うん。早く大人になりた〜いね。あれは戦闘中のみで、1.3倍」

「まさか、みんな重ねがけできたりする?」

「するよ? なんで?」


 なんで、じゃないよ。

 二倍の二倍の三倍の1.3倍だよ?

 ナッツの力が25だから、二倍で50、さらに二倍で100、三倍なら300だ。魔法かければ、390。


「えー! 僕らの仲間で一番、力の強いシャケだって、レベル20で115なんだよ? 戦士の職業補正が入っても130。ナッツの重ねがけマックスなら、それの三倍だからね? さっき言っといてくれたら、ゴーレム戦、楽勝できたのに」

「ナッツないもん」

「……ほら。これ、あげるから。戦闘のときに大事に使ってね。今はこれ一袋しか持ってないから」


 僕はミックスナッツの袋をナッツに手渡した。


「えっ? いいの? くれるの? 食っちゃうよ?」

「ダメ。ダメ。戦闘でピンチのときだけにしてよ」

「ええーっ?」

「ええーっ、じゃないよ? 今はそれしかないんだから」


 そのとき、僕は背後に気配を感じた。


「ん——?」


 何かが……這いよってくる?

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