表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十一章 研究室の秘密
147/377

勇者がモンスターに!



 とにかく、三十分後にはグレート所長がやってくる。

 どうにかして、この場をごまかさないと。


 そのとき僕はひらめいた!

 そうだ。

 グレート所長はたぶん、アンドーくんたちの存在をまったく認知していない。

 アレをコレしてソレすると、ドレになるんじゃないのか?


 というわけで、三十分後——


「おーい。どうだ? 三十分たったぞ。そろそろ勇者がモンスターになるころだぞよ?」


 グレート所長がドタドタ足音を鳴らしてやってきた。


 さっきまで気を失っていた竜兵士たちは、あわてふためいて敬礼した。

「は、はい。もうよいかと」


 もちろん、途中で失神してたことなんて彼らは言わない。報告なんてしたら叱られるのは自分たちだからだ。グレート所長の叱責とは首を切ることらしいから、竜兵士たちは、みんな口をひきしめて黙りこんでいる。モンスターでも自分の首は惜しいようだ。


「よしよし。どうなったかな。ブッヒッヒ」


 グレート所長はブタっ鼻を鳴らして機械を止めた。手術台がスライドして機械のなかから出てくる。

 シューッと光と煙があたりに充満した。


「勇者と言うからには、さぞや強いモンスターになったんだろうな。わが隊の主要部隊で活躍させてやろうぞよ。ブッヒッヒ」


 ようやく、その光と煙がやむと、手術台の上があらわになった。まぶしい光のなかから、黒いシルエットが現出する。その姿は——


「キュイ?」

「…………」


 グレート所長と竜兵士たちは、自分の目を疑うように、それを凝視した。


「なんじゃ、コレは?」

「ハッ! ぽよぽよかと」

「ぽよぽよ?」

「始まりの街近くに生息するウサギ型モンスターです!」

「そんなこと知っとるわい! なんで勇者がぽよぽよになるのかと聞いとるんじゃー!」

「変身するのは本人の魂の形です。勇者の魂は、ぽよぽよだったのではないでしょうか!」

「えーい! ぽよぽよなんぞ戦闘の役に立たんわい。勇者のくせに、ふぬけたヤツよのぉ。ええわい。こんなものはいらん。捨ててこい」

「ハハーッ!」


 グレート所長は怒って去っていった。


 ぽよぽよは戦力外だって?

 ぽよちゃんに対して失礼だぞ。

 だけど、しめしめ。

 これで僕(勇者)はぽよぽよになったと思われた。

 そう。もちろん、機械のなかに入っていたのは、僕と入れかわったぽよちゃんだ。ぽよちゃん、グレート所長の前では一度も姿を見せたことないからね。ぽよちゃんに代わってもらって、僕はアンドーくんの隠れ身で隠れてたってわけだ。


 竜兵士の一人がぽよちゃんをかかえて、階下へ歩いていく。捨ててこいって言ってたから、外に出すつもりだろう。


 僕らは隠れ身のまま、ぽよちゃんを追っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ