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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第四部 囚われのかーくん 十章 悪夢の廃墟
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三階の亡霊



 装備品もとりもどしたし、次は四階だ。階段を探して歩いていく。

 すると、さっきの二階から三階にかけてあったのとよく似たプチホールと階段があった。

 その手前に何かの受付のようなカウンターがある。


「あ、あれ? アンドーくん。あそこに人が立ってない?」

「えっ? そぎゃんことああわけが——あったわ。ほんとに人が立っちょう」


 ただね。その人影は半分、透きとおってる! お、オバケだ……。


 オバケは男のようだ。

 それも若い男。

 金髪を七三分けになでつけて、まじめそうに見える。


「オバケ嫌い! 逃げるよ」と、階段にむかって走ろうとすると、オバケのほうが僕を呼びとめてきた。


「あっ、待った。待った。お客さん。怖がらなくていいから、行かないでください。二百年ぶりのお客さんなんだから」

「えーと……商売する亡霊?」

「そです。商売する亡霊です」

「オバケでしょ?」

「オバケです!」


 僕は逃げだそうとした。

 すると、どうだ!

 オバケがスウーっと僕の前にまわりこんで行く手をさえぎる。こ、怖い。取り憑かれるぅー。のっとられるぅー。ゾンビが感染うつるかもッ?


「ゾンビじゃありませんし、伝染しません。取り憑いたり、のっとったりもしません」

「ギャーっ。心を読まれた!」

「いちいちリアクションの大きい人だなぁ。オバケ苦手なんですか?」


 あははと笑ったのは僕じゃない。

 アンドーくんだ。


「かーくんは怖がりだけんねぇ」


 いやいや。オバケだよ?

 ふつう怖いでしょ。


 オバケは僕を無視して自分語りを始めた。やたら押しの強い幽霊だ。


「私はですね。生前、ここで商売していたんです。このお城の住人でした。あのころはここも活気にあふれていて、とてもキレイなところだったんですよ。珍しいアイテムを購入するために、わざわざ遠くから訪れる旅人も多かった」


 ああ、長いやつだな。

 これは延々と続くやつだ。


「……手短かにお願いできないですか?」


 僕はお願いしたけど、オバケは聞いてるふうじゃない。気持ちよさそうに目をとじて、しゃべり続ける。


「この城は〇〇〇〇さまと〇〇〇〇さまが、ともにすごされるために設けた城だった。お二方は種族が異なったため、その境界にな。城を築いたんだよ」


 〇〇さまってとこの〇〇が、うまく聞きとれない。誰かの名前なんだとはわかるんだけど。霊なんで、波長にゆらぎがあるのかも。


「お幸せなお二方だった。臣下も皆、喜んでいたんだけどな——まあ、こうなってしまったことはしかたないさ。いらっしゃいませ。何かご入り用なものはありますか? 休憩所もございますよ」


 わーッ! 押し売りの亡霊だった!

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