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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
九章 サンディアナを守れ!
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襲撃される街



 サンディアナの街がモンスターたちに襲われている。

 街のあちこちから黒煙があがり、物の破壊される音が響きわたった。

 悲鳴や泣き叫ぶ声も聞こえる。


 襲っているのはミニドラゴンや、コウモリ男や見習いガーゴイルだ。ガーゴイルに見習いっているんだな。

 さっきまでの洞くつの魚市場より、じゃっかん固いが、特殊攻撃はミニドラゴンの火の粉ブレスくらい。燃えろ〜を全体攻撃にしたていどだ。しかも、たいてい敵モンスターは一匹ずつでしか出てこない。


 僕らは目につくモンスターをかたっぱしからやっつけていった。

 火力の高いぽよちゃんやクマりんを前に出して、あとは蘭さん、僕で盤石ばんじゃくの布陣。


 キャーと悲鳴が聞こえれば、家のなかまで走っていく。

「ミニドラゴン! 僕たちが相手だ! ムチ四連打!」

「ロラン。ガーゴイルは、ぽよちゃんが倒した!」

「はい。この家のなかには、もうモンスターはいませんね。おばあさん。大丈夫ですか? ケガはありませんか?」

「ありがとうございます」

「ここは危険です。モンスターがいなくなるまで、堅固な地下室などのある場所に退避していてください」

「となりのお宅には地下室がありますだ。そこまで逃げとりますだ」


 ん? なんで、こういうときの老人って、とうとつに訛るんだろう?

 ふんいきかな?

 田舎設定の村じゃないんだし。


 そんな感じで戦いながら進んでいくので、なかなか先へ進めない。


「ロラン。かーくん。二手にわかれたらどや? 街の人を逃がす役目と、トーマスんとこ行く役にわかれようや」

「そうですね。そのほうが早い」


 たしかに、このていどのモンスター相手なら、戦力を均等にわけさえすれば、パーティーを二分しても楽に勝てそうだ。


「誰と誰にわかれますか?」と、蘭さんが言うので、僕は考えた。

「スズランを除外したとしても、八人いるから二つパーティーが作れるね。スズランはお兄さんといっしょがいいだろうから、ロランのパーティーに入れるとして」


 ロランが思案した。

「これまでの戦いの感じから言って、作戦を立てることができるのは、僕とかーくんだ。僕のパーティー。かーくんのパーティーにわけよう。ぽよちゃんは、かーくんについていくでしょう?」

「キュイ〜」


 僕ではなく、ぽよちゃんが返事した。

 ぽよちゃん。僕も大好きだよ〜。


 それを見て、トコトコとクマりんが三村くんにすりよっていった。耳と腕をなおしてもらってから、クマりんは三村くんの舎弟のようだ。


 たまりんも馬車から出てきて、僕の肩のあたりに、ふわりと浮かんだ。


 バランは一礼して、「私はどちらでもかまいませんよ」と言った。

 もはや、日本語は世界共通語だね!


 蘭さんが残りのメンバーをふりわける。


「じゃあ、かーくんのパーティーに攻撃魔法できる人がいないから、アンドーを入れよう。かーくん、アンドー、ぽよちゃん、たまりんで四人ですね。とすると、三村くんとクマりんは僕のパーティー。バランは火力不足のかーくんの隊をサポートしてもらおうかな」


「あっ、待って。ロラン。アンドーくんの忍び足があるから、僕らは少人数で急いで、トーマスの家に行くよ。スズランのためにも、馬車はロランたちが持ってたほうがいいだろうし」


「なるほど。そうですね。じゃあ、バランは僕たちといてください」


 そういうわけで、僕らは二つのパーティーにわかれた。


「かーくん。一時間後にこのあたりで落ちあいましょう」

「うん。気をつけてね。ロラン」

「かーくんこそ」


 僕はアンドーくん、ぽよちゃん、たまりんとともに街の中心に向かって走りだす。


 まさか、ほんのいっときのつもりの別れが、思ってもみないほど長期間に渡るとは、このときは思ってもみないかーくんだった……。

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