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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
九章 サンディアナを守れ!
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街に帰ってはみたものの



 蘭さんの危険察知能力か。

 蘭さんはモンスターの気配を感知したようだ。

 街のなかにモンスター?

 なんで?


 僕はシルキー城が襲われたときのことを思いだした。


「ま、まさか……」

「うん。きっとそうだ。あのキャラバンのやつら。各地で街を襲ってたんだろ? 本性を現したんですよ」


 ああ、甘かった!

 やっぱり、あのまま、すごすごと、どこかへ行ってくれたりはしなかったんだ。やつらはよりによって僕らがいないすきに、最悪の形で街を襲ったのか。


「街の人を助けないと」

「でも、待ちぃや。よう考えや? シルキー城におった敵。街を襲っとるんが、あんなんやったらどないすんねん。ホワイトドラゴン一体に、おれら、あれほど手こずったんやで? ホワイトドラゴンと同レベルのやつらが街中にウヨウヨおったら?」


 たしかに、シルキー城のときは、そうだった。ザコ敵のレベルが魔王城クラス。一体一体がホワイトドラゴンなみに強いやつらばかり。


「でも、今の僕らは一体ずつが相手なら、なんとか倒せるよ? 少しでも倒して、街のみんなが逃げだす時間をかせがないと」


 僕が言うと、三村くんやアンドーくんもうなずいた。

「せやな……おれらだけ逃げだすわけにはいかんしな」

「忍び足で行かや」


 でも、蘭さんは微笑した。

「安心してください。今回の敵はシルキー城のときほど強くはありません。危険察知の感じだと、さっきの竜の岬の周辺の出現モンスターくらいです」

「そうか。それなら……」


 安心しかけたのに、今度は蘭さんの顔がくもる。


「ただ、なかに一部だけ、すごく強いやつがいるんですよね。ほんの数体ですが。そのなかでも、とくに一体、とんでもないバケモノがいる。あいつには今の僕らじゃ勝てない……」


 僕は思った。

 昨夜の迷路の森の夜営地で見た、座長のゴードン。アイツのことじゃないだろうか? アイツがものすごく強いモンスターだということは、ひとめでわかった。


 僕はそのときのようすをみんなに語った。


「だから、アイツだと思う。アイツに出会わないように気をつけないと」

「そうですね。街の人を助けて逃げだすのに力を貸しながら、トーマスの家をめざしてウロコを届けましょう」

「そうだね」


 そのとき、街の中心部から狼煙のろしが上がった。真っ赤な血のような狼煙だ。

 ギルドが他の街に火急を知らせ、応援を要請したんだろう。

 まもなく、王都や周辺の街からも救助がやってくる。


「よし。僕らも行こう!」

「うん」


 僕らは街にふみこんだ。

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