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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
九章 サンディアナを守れ!
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ホワイトドラゴン戦! 3



 僕と三村くんの攻撃は同じだ。通常攻撃のみ。

 でも、僕の攻撃はかなりの頻度でクリティカル化する。クリティカルになると100以上のダメージを食らわせられるから、けっこう主戦力になれた。


 早く三村くんに、もっといい武器を持たせないと、戦士になってもらった意味がない。ムダに高い腕力がほんとにムダになってる。


 それでも蘭さんと僕の通常攻撃で、毎ターン300以上のHPをけずることができた。


「この調子なら、もうすぐ倒せますね」

「あと3ターンくらいかな」


 しかし、油断したころが危ないのだ。

 いつも、そう。


 蘭さんの四連続攻撃!

 と、そのときだ。

 蘭さんが悲鳴をあげて、とつぜん倒れた。


 蘭さんのレベルは今22。

 最大HPは192だ。

 そのHPが19にまで減っている。

 反射だ。

 ホワイトドラゴンの反射攻撃が発動した!


「ロラン!」

「だ……大丈夫。続けて……あとちょっとだ」


 ところが、そのあと、「もっと燃えろ〜」を放ったアンドーくんも、「わッ」と叫んでひざをついた。アンドーくんはもともとのHPが高い。でも魔法使いの職業病でマイナス補正がかかるため、今のHPは175。90も減ってる。


「反射攻撃って、連続するときは連続するのか」

「それか、そのターンずっと続くかやな。二人、早よ治さんとあかんで」

「シャケ。スズランと代わってくれる? スズランなら全体回復魔法を使える」

「せやな」


 ところがだ。

 なぜか、スズランよりさきに、たまりんが馬車から降りてきた。


「えっ? たまりん?」


 たまりんはポロロロンと、海鳴りのハープを弾いた。

 な、なんで今?

 海スライムのときもだったけどさ。

 たまりん、こんなに聞きわけのない子だった?


 しょうがないから、とりあえず深手の蘭さんに僕は「もっと元気になれ〜」をかける。なんとかHPの半分が回復した。

 やっぱり僕、僧侶でないとダメだったかな? こういうとき単体でも全体でもいいから、完全回復魔法があれば……。


 次のターン、蘭さんは大事をとって、まず自力で「元気になれ〜」と回復。

 ほぼ全回復した。


「まだ反射するかな? でも、僕の攻撃力で試すのはギャンブルすぎますか?」

「僕が破魔の剣の装備魔法で、ようす見たほうがいいよ」

「そうですね。お願いします」


 蘭さんは待機行動をとった。

 アンドーくんも薬草をかじる。

 たまりんは、またポロポロポロンとハープをいじる。手がないのに演奏できるのが不思議なんだけど。吐息で吹いてるのか? それとも……念力?


 しょうがないんで、僕は破魔の剣をかかげた。

「破魔の剣〜」


 って、やっぱり返ってきた!

 パラパラと火の粉が僕のまわりで飛びちる。


「アチチ。あちッ。まだ反射してるよ」

「何ターンか続くんですね」

「困ったなぁ」


 いったい何ターン続くんだろう?

 そこが問題なんだよな。

 攻撃できないと、ホワイトドラゴンが魔法バリア張らなくなるし、そのぶん反撃されるようになる。今度はこっちのHPがけずられていく。


 次のホワイトドラゴンのターンは聖なる光だった。ピカッと光って、痛いというより、まぶしい。


「ああ、目がくらんだ!」

「前が、よく見えませんね」

「どげする? 攻撃できんよ」


 聖なる光は、目くらましの付加攻撃だったのか。

 これじゃ数ターン攻撃できない。

 どっちにしろ反射攻撃が解けないと攻撃はできないんだけど。

 あっ、まさか。ちょうど反射攻撃の切れめに目くらまししかけてきたのかッ? こっちの攻撃を封じるために? あわせ技、使ったのか?


 もうダメかもと、僕らのあいだに悲壮感がただよう。


 ところがそのとき、ハープの音色がとても美しい音楽を奏でた。

 心地よい音の波が、僕らを洗ってくれるかのようだった。



 *



 ザーン、ザザーンと、高波が僕らを優しく包みこんだあと、さらに勢いをつけてホワイトドラゴンをも飲みこむ。


 水中を浮遊するような感覚。

 気がつくと、僕らの状態異常はすっかり治っていた。


「まぶしくない!」

「見てください。ホワイトドラゴンの魔法バリアが消えてる」


 魔法バリアだけじゃない。

 たぶん、反射攻撃もだ。


「さっきのが装備品魔法の“海鳴りのラプソディー”なんだ」

「虹のオーロラに似た効果なんですね」

「ロラン。かーくん。HPも回復しちょうよ」

「ほんとだ。火の粉の痛みがなくなってる」

「僕もです。全回復しました」


 そうか。だから、たまりんが勝手に出てきたんだ。この効果を知ってたんだな。発動までに3ターンかかるとは言え、逆に3ターンごとに必ず状態異常とHPが回復すると思えば、ボス戦ではめちゃくちゃ便利だ。


 たまりん、ありがとう!


「よし! 今のうちにたたみかけましょう! いっきに行きますよ」

「わかった」


 蘭さんのムチ四連打!

 アンドーくんの「もっと燃えろ〜!」

 僕のクリティカル!


 ホワイトドラゴンはおとなしくなった。


「私の負けです。あなたがたの勇気を認めましょう」


 ヤッター!

 ホワイトドラゴンを倒した。


 チャラララッチャッチャー!

 またレベルアップだ。

 どんどん強くなるぞ。僕ら。


 これでトーマスを救える。

 早くサンディアナに帰らなくちゃ。


 僕らはアイテムを使って急いで街へ帰った。ホワイトドラゴンから貰ったウロコを持って意気揚々。

 でも、僕が一歩、街のゲートにふみだそうとしたときだ。


「ちょっと待って。かーくん」


 蘭さんが険しく表情をひきしめる。

「街のなかに敵がいる。それも、いたるところに」

「えッ?」


 な、なんだ?

 いったい、どうしたんだ?

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