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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
九章 サンディアナを守れ!
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ホワイトドラゴン戦! 1



 ウツボン、テッポオ、ヒトヒト、ピラメ、ホタッテ、チビシャーク——

 お魚街道だ。

 魚でないのは海スライムとウミヘビくらい。

 クラーケンの子どもっていうのも出てきた。子どもがいるってことは、そのうち、クラーケンも出てくるのか……。

 タコツボはフジツボに間借りするタコね。フジツボのようなタコのようなヤドカリのようなモンスターだ。ちっちゃいフジツボからデッカいタコがとびだしてくるんで驚く。海のビックリ箱だね。


 この魚市場を主戦力の蘭さんをぬきにして、よく戦ってきたと思う。

 僕ら、がんばったよ。


「なんか道がどんどん、もぐってない?」

「もぐっとるなぁ」

「この位置、海の底なんじゃないの?」

「底かもしれへんなぁ」


 やがて、最深部に到達した。

 岩肌の天井にかこまれた地下に、たぷん、たぷん、とゆれる海水が満ちた広い空間があった。まんなかに小島があり、岩が橋のように小島までつながっている。


 うーん。水深は深そうだ。下のほうを大きなサメのような魚影がゆっくりと泳いでいく。

 ここ、落ちたら確実に溺れるよね。

 気をつけなきゃ。


 で、意味ありげな小島。

 もちろん、そこにホワイトドラゴンはいた。真っ白なキレイな竜だ。優しそうな目をしてる。

 できれば戦いたくないんだけどなぁ。


 やっと蘭さんも馬車から出てきて、いったんアンドーくんと交代する。


「僕の言葉がわかりますか? ホワイトドラゴン」


 蘭さんの問いかけに、ホワイトドラゴンが答えた。


「ええ。わかりますよ」


 おおっ! 通じた。人間語。

 今度こそ、するっとウロコを渡してくれないかなぁ? するっとね。さらっとね。つるっとでもいい。


「僕の友人が魔王軍のドラゴンの竜毒にやられ、死にかけています。治癒するためには、あなたのウロコが必要だと聞きました。どうか、あなたのウロコを一枚だけ我々にわけてくださいませんか?」


 こ……今度はいけるかな?

 フェニックスみたいに変な事情もなさそうだし。


 すると、ホワイトドラゴンはうなずいた。


「いいですよ。そういうことなら、私のウロコをさしあげましょう」


 えっ? ほんとに? ラッキー。

 戦わなくてすむんだ?


「ただし、あなたがたの勇気を私に示しなさい。あなたがたの友人を救いたいという気持ちが本物だと、私に認めさせてごらんなさい」


 そう言って、ホワイトドラゴンは背中の翼をひろげた。


 ああ……やっぱり、そうなるのねぇ。



 *



 僕ら、フェニックス戦のあと、ボスと戦ってないな。大丈夫かな。仮にもドラゴンだ。できれば手かげんしてほしいとこだけど。


 ホワイトドラゴンはたぶん、神竜なんだろう。フェニックスと同じ匂いがする。“善”の気配のする神聖な生き物だ。


「では、全力で行きます」

「どうぞ」


 蘭さんは断りを入れてから、いつもの「みんな、がんばろ〜」を言った。

 何度かくりかえそうとするので、僕は止めた。


「ちょっと待って。せっかくだから、ぽよちゃんの聞き耳を使ってみようよ」

「そうですね」

「ぽよちゃん。お願い」

「キュイ〜」


 そう言えば、僕のつまみ食いはどうなんだろうか?

 もしかして文字通り、モンスターの肉を食わなきゃいけないのか?

 もしそうなら、ここへ来るまでにお魚街道で試してみればよかった。

 クラーケン(イカ)、ホタッテ(ホタテ貝)、ピラメ(ヒラメ)、チビシャーク(フカヒレ)、ウツボン(ウツボ)——海鮮丼じゃないか! 美味そう!


 ハッ! 戦闘中。戦闘中。

 妄想に走ってしまった。


 ぽよちゃんのお耳ピクピク〜


「キュイキュイ」

「ホワイトドラゴンのHPは……4200、か。まあボスだから、これくらいはしょうがないかな。フェニックスはたぶん一万くらいはあったよね。MPはそんなに多くない。弱点は闇属性。うーん。僕らに闇属性の特技なんてないよね? 攻撃パターンは、通常攻撃(聖属性)と聖なる光(聖属性全体攻撃魔法)。あと、魔法バリアを張るね。まれに反射攻撃だって」


 力はそれほど強くない。攻撃力80って、僕らと大差ない。

 もしかしたら一番やっかいなのは、まれにあるっていう反射攻撃かもしれない。ぽよちゃんのアルテマハイテンションアタックや、クマりんのテディーキング変身からのボディープレス、あばれるなどで反射されると、逆にこっちが一撃死してしまう。


「ロラン。今回は、ぽよちゃんとクマりんは出さないほうがいいかも。ホワイトドラゴンは回復魔法は使わないから、じっくりコツコツけずっていったほうが、反射攻撃にやられなくて安全かも」

「そうですね。じゃあ、僕らの攻撃力もあんまりあげないほうがいいのかな」

「そうだね」


 僕はぽよちゃんにお願いした。

「ぽよちゃんは今回は馬車に入っててね。もしも誰かのピンチで交代したときは、『巻きで行こう』で補助してね」

「キュイ!」


 選手交代。

 ぽよちゃんに代わって、アンドーくん。

 作戦終了。行くぞ!

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