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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
八章 キャラバン夜営地の森
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夜営地の森は迷路だった



 夜のワールドマップ。

 こっちのメンバーはギリギリ四人。

 しかも、そのうちの一人(一匹)、ぽよちゃんは熟睡中。

 耳をたらし、僕の腕のなかでスースー寝息を立てる、ふかふかのウサギ。めちゃくちゃ可愛いんですけど? 戦力にはならないんだけどね。


「お金、拾えるなぁ。平均一万八千円……もうすぐ二万拾えるようになるね」

「いいなぁ。かーくん。わも欲しいわ」

「ほんと、なんで僕にだけ見えるんだろうねぇ?」


 ワールドマップに出てくる敵は昼間と同じモンスターが大半だ。でも、狼形のモンスターのウルフィンや、人面樹は初出。まあ、僕らの敵じゃなかった。ぽよちゃんが寝てるし、たまりんがあんまり戦闘むきじゃないものの、僕とアンドーくんだけで退治できた。


 森まではすごく近距離だった。

 街を出てすぐくらいの位置にある。

 大変だったのは、そこからだ。

 樹木が密生して、ものすごい迷路になっていたからだ。


「くうっ。ここ、一回、来た道だ」

「こっちは袋小路になっちょうね」

「もう。どこにいるんだよ。サーカス」

「一番、奥だない?」

「まあそうだよね」

「あっ、かーくん。こっち行けぇわ。道が隠してああよ」


 アンドーくんが手招きして示したさきには、イバラの茂みがあった。よく見るとイバラは作り物。そのさきに道があった。いかにも怪しい。きっと、この道の奥にキャラバンがいるに違いない。


 急いで進みたいのに、そんなときにかぎって、モンスターが現れる。



 野生の人面樹A、B、Cが現れた!



 また戦闘か。

 ぽよちゃん、そろそろ起きてくれないかなぁ。

 僕はため息をつきながら、そっと、ぽよちゃんを地面に寝かせた。



 *



 人面樹はさほどの敵じゃない。

 ここへ来るまでに何度も戦ったけど、攻撃もノーマルだし、とくに変な攻撃してこない。弱点も火属性とわかってる。破魔の剣の装備品魔法でも、けっこうダメージを与えられた。

 まあ、これまでは三体同時に出たことはなかったけど、特殊攻撃しないんだから何体出ても同じかな。


「はいはい。ぽよちゃん、待っててねぇ。ちょちょいとやっつけるよ」


 ぽよちゃんは「キュイ〜……」と、寝言をもらした。

 この幸せそうな寝顔を守るために、がんばらないと。


 このメンバーのなかで一番速いのはアンドーくん。呪文一発。

「燃えろ〜」


 魔法使いに転職したので、数値にも補正が入ってるし、杖装備によって魔法攻撃力が上がってる。



 人面樹Aに82のダメージ。

 人面樹Aを倒した。



 よしよし。順調。順調。

 じゃあ、次は僕ね。

 僕は一発では倒せないから、クリティカル頼み。


「やあー!」と、かけ声もだいぶ勇ましくなった。

 スライム叩いてたころの僕に見せてやりたい。


 出たー! クリティカル!



 人面樹Bにクリティカル攻撃!

 175のダメージを与えた。

 人面樹Bを倒した。



 やったね。これで、人面樹Cだけ。

 けど、たまりんの「冷たくなれ〜」は人面樹には、あんまり効かないんだよな。

 一体残ってしまった。


 まあ、次のターンで倒せば充分だ。

 ぽよちゃんが反撃くらわないようにだけ気をつけよう。

 ぽよちゃんは寝てるんで、戦闘不能あつかい。


 すぐに人面樹の攻撃ターンになった。

 そのときだ。

 とつぜん、人面樹がカッと目を見ひらいた。


 え? 何事?

 こんな動作、今まで見たことないんだけど?


 思わず、おびえる僕。

 人面樹はニヤリと笑うと、見ひらいた目を今度は半眼にした。そして——


 ん? なんだ、この透きとおるような歌声は? いい声だなぁ。気持ちいい……。


 ねむねむ。ねむねむねむ……。

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