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第6話 猫カフェ

 ショッピングモールの中をしばらく3人で歩いた俺達は猫カフェのある場所へと到着する。


「猫ちゃんがいっぱいだ」


 夏海ちゃんはガラス越しから店内の様子を見てテンション高くそう声をあげた。

 それから入り口でそれぞれ受付でドリンクを注文し利用に関する注意事項を聞いた俺達は、早速猫達のいるエリアへと入っていく。

 ちなみにドリンクは完成次第呼び出しベルが鳴り、自分達で取りに行く方式らしい。


「わー、猫ちゃんだ。可愛い」


「へー、猫カフェってこんな感じになってるのか」


 恵美と夏海ちゃんは早速近くにいた猫達をモフり始め、猫カフェに来るのが初めての俺はキョロキョロしていた。


「パパも触ってみてよ、ふわふわしてるから」


「……本当だ、柔らかくてふわふわしてるから触り心地がいいな」


 夏海ちゃんに促されて近くにいた猫にそっと触れると、確かにめちゃくちゃ触り心地が良くてふわふわだった。

 しばらく俺がそのまま触り続けているとと飽きられたのか立ち上がって別の場所へと行ってしまう。

 今度は別の猫を触ろうとするが近付いたタイミングで逃げられてしまった。


「あっ、逃げられた」


「和人君はさ、もう少し姿勢を低くして猫ちゃん達に近付いた方がいいよ。今のままだと威圧感とか恐怖感を与えて逃げちゃうからさ」


「なるほど、それで2人は全然逃げられないのか」


 恵美や夏海ちゃん、他の客達が低姿勢で猫達に接していて不思議に思っていたが、どうやらそういう理由があったようだ。

 恐らく夏海ちゃんは事前に恵美から猫への接し方のコツを聞いていたのではないだろうか。

 そんな事を考えていると呼び出しベルが鳴り始めたため飲み物を取りに行く。

 俺と恵美はホットコーヒーを、夏海ちゃんはオレンジジュースを注文していた。

 飲み物を受け取りしばらく座って飲んでいた俺達だったが、夏海ちゃんが近くに置いてあった釣竿型のおもちゃを手に取り揺らし始める。

 だが猫達は特に近付いてくる様子が無く、夏海ちゃんは少し不満そうな顔をしていた。


「あれ? 猫ちゃん来ない……」


「うーん、全然寄ってこないな。向こうの人はめちゃくちゃ寄ってきてるのに」


 おもちゃを揺らしても猫が寄って来ない夏海ちゃんだったが、少し離れた場所に座っていた人の周りには猫が集まっている。


「むやみやたらにおもちゃを振るだけだと猫ちゃんはあまりのって来ないんだよ。おもちゃを獲物に見せかけて、動かしたり止めたりランダムに動かすのがコツなんだよ」


 俺達2人が困っていると、得意げな顔をした恵美がそうコツを教えてくれた。


「へー、そうなのか。早速やってみようぜ、夏海ちゃん」


「うん」


 恵美から教えてもらったように夏海ちゃんがおもちゃを動かし始めると近くで座っていた猫が立ち上がって寄ってきて先端についているおもちゃを追いかけ始める。

 おもちゃを揺らしたり振り上げることで猫は辺りを走り回ったりジャンプしたりと、かなりアクティブな動きをしていた。


「やったー、猫ちゃん寄ってきた」


「うんうん、そんな感じだよ」


 恵美はそんな夏海ちゃんの様子を感心した様子で横から見ている。

 それからしばらくの間、夏海ちゃんはテンションが高いままおもちゃを使って猫と遊んでいたわけだが、流石に遊び疲れてしまったようで休憩し始めた。

 夏海ちゃんが足を伸ばして休憩していると近くにいた猫が寄ってきて膝の上に乗ってくる。


「わーい、猫ちゃんが膝に乗ってきた」


「良かったな」


「へー、初めてだと中々膝には乗ってくれないのに夏海ちゃんは運が良いね」


 めちゃくちゃ嬉しそうな表情をした夏海ちゃんに俺と恵美はそう声をかけた。

 夏海ちゃんが膝の上の猫と戯れている間、俺は恵美と話す。


「猫カフェって思ってた以上に楽しいなところだな。夏海ちゃんの付き添いで来たはずなのに俺でも十分楽しめたし」


「確かに和人もめちゃくちゃ楽しそうにおもちゃを動かしてたもんね」


 俺も夏海ちゃんからおもちゃを渡されて猫と遊んでみたのだが、思った以上に楽しくついついはしゃいでしまったのだ。


「猫カフェって男だけで遊んでると絶対来ない場所だから新鮮だったし、誘ってくれて嬉しかったよ。ありがとう恵美」


 俺がそうお礼の言葉をかけると恵美は顔を一瞬で真っ赤に染めた。


「ち、ちょっと不意打ちでお礼なんて言われると照れちゃうよ」


「あっ、恵美お姉ちゃん顔が真っ赤になってるよ」


 隣に座っていた夏海ちゃんにも顔をバッチリ見られたようで、恵美はさらにあたふたし始める。


「も、もうそろそろ良い時間だしそろそろ外に出ない?」


 急に話題を逸らすためにそう話す恵美だったが、スマホで時間をすると結構時間が経っている事に気付く。


「そうだな、そうしよう。ほら夏海ちゃん、帰るぞ」


「うん。猫ちゃん、バイバイ」


 帰りたく無いとぐずるのでは無いかと思っていた俺だったが、夏海ちゃんは満足してしたのかすんなりと聞き入れてくれる。

 俺達は受付で会計を済ませるとそのまま猫カフェを後にした。

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