好きの意味の第一歩
「今日も気持ちのいい朝だ。」
そう思いながら5時にベッドを後にする。
今日は高校1年生最初の日だ。
いつも通りの朝食を作りつつ、この前ミラ様に言われた言葉を思い出す。
「同じクラスのワース・シングルって人もしかしたら、
私好きになってしまったのかもしれない!」
まず「好き」という言葉とは何なのか。スマホで調べたらこんな言葉が出た。
心が惹きつけられること、 気持ちにぴったり合うこと、
誰かに興味を持ち、その相手と関係を持ちたいと感じること、
また、相手に好きという気持ちを持つことで「必要とされたい」「求められたい」
という感情が芽生えること。
私にはよく分からない。必要とされたいとは私のように家政婦として必要とされたいのか?
奥様に聞いてみよう。
そんなことを考えていたらベーコンが焦げてしまった。これは自分の朝食として
また新しいものを焼かなくてはならない。
「はぁ……」
日頃の疲れからか大きなため息が出た。
奥様、旦那様、そしてミラ様を起こして朝食の準備をする。
今日の朝食は食べやすいようなトーストとコーンスープだ。
奥様が食べ終わるころに朝考えたことを言った。
「奥様少しよろしいですか?」
「えぇ、どうしたの?」
「奥様は私のことが好きなのですか?」
「…! 急にどうしたの?もちろん『家族としては』好きよ」
「?家族としてはとはどういうことですか?」
「また後でにしてちょうだい。今日は忙しいの。」
「はい。すみません。」
私のことが好きだとは分かったけれど『家族としては』とはどういうことなのだろう。
結局分からずじまいに奥様と旦那様は行ってしまった。
ミラ様を高校まで送り、朝食を食べ、私も学校に行く準備をする。
家族としてはということは他のことの場合もあるのだろうか。
頭が破裂しそうなくらい考えたが分からなかった。
「起立ー、礼」
朝の最初の授業が始まった。
「エールダムさん、エールダムさん」
「ひゃい!」
考え事をしていて思わずそんな声が出て、慌てて立った。クラスから笑い声がし、先生が
「この問題を解いてちょうだい。」
「…分かりました。」
授業は聞いていなかったが昨日予習しておいたからばっちり。
スラスラッと問題を解いて自分の席へと帰った。
「せ、正解…」
先生が何も言えないような仕草をしていたが授業が再開した。
休み時間のとき女子はもちろんのこと男子もやってきた。
「ねぇ、絶対授業聞いてなかったでしょ、」
「なんであの問題分かるんだよ、天才かよ」
「あなたすごいね!」
様々なことを言われたが私にはそんなことに対応する余裕はなかったが
「ねぇ、友達になってよ」
ひときわ目立つ女子がいた。
サッと顔を上げその子の顔を見た。
とても顔も綺麗で美しい。しかも声も特徴的だったからつい私は
「あ、あなたの名前は?」
そう聞いていた。
「ユリーナ・モトーダだよ!あなたは?」
「マナ、マナ・エールダムです。」
そうして私の家政婦生活兼高校生活が始まった。