第二譚
たくさんの俳句を、思うままに書いてきた。
でも正直、コツがよく分からない。
想像を引き立てるだけではダメなのか。
『違和感のない宣伝を作り、出演予告を全くしないで大物女優が、ほぼメインで出演する連続ドラマとか、大物俳優が友情出演ではなく、無情出演する連続ドラマがあればな』
みたいな感じのことを考えて、自分で実現できたらなと思ってしまっている僕だから、ドラマみたいな展開が俳句にも、滲んでいるのではないだろうか。
★タンパク質分解酵素に炎天
という俳句が生まれた
なかなかの個性はあると思っている
パイナップルなどを食べたときに、舌がヒリヒリすることがある
そのヒリヒリやピリピリは、タンパク質分解酵素によるものだ
パイナップルによるヒリヒリに、炎天の陽射しによるヒリヒリが、加わってきた状況を読んだ句である
夏のツラさや暑さなどを、表現しきれていればいいのだが
★シャワー終え しずく三三七拍子
という句が出来上がった
シャワーで軽く身体を洗い流した後に、湯船に浸かった
その時に、シャワーのなかに残っていた水が、下にあるちょっとした台みたいなものに落ちて、音を奏でた
その音のリズムが、誰かが意識して奏でているような、完璧な三三七拍子に聞こえた
それを、そのまま書いただけの句だ
シャワー終えと、シャワー終えて、のどっちにするか、正直迷った
しずく、の部分もかなり迷った
他に水の表現に合う、適切な言葉を探した
しずくを、漢字にしようか、平仮名にしようかも迷った
でも、いいカタチに収まってくれたと思っている
★雪予報網羅 男鹿半島の ありとなし
という俳句が出来た
そのまま出来事を書き記しただけみたいな感じだ
これから雪になるという予報を耳にして、テレビにかじりついた
ニュース内の天気予報だけでは、情報が不足していた
すべての雪情報を知りたくなって、各局のデータ放送を見た
ボタンを押せば、すぐに天気が出るようになっているのだ
雪の予報を見ていたら、秋田県の海側の突起が、あるのとないのがあることに気がついた
局によって、地図の日本のカタチは全然違っていた
そこに、面白味を感じた
だから書いた句だ
誰かが、そこのところを感じ取ってくれたら嬉しい
★トラックの横で構える傘の盾
という句が浮かんできた
あるあるな出来事過ぎて、正直、あまり自信はない
小学生のときに、雨の中、通学路を歩いていたら、すぐそばの水溜まりの水を、走ってきた車が跳ね上げて、全身に掛かることが多発した
狭い道だったから、何度もビチョビチョになったことを覚えている
だから、大きい車のときは、特にしっかりと注意をした
いつも広げて真上に差している傘を、車が来たときだけ横にして、水しぶきを防いでいた
これだけの内容が、句から伝わるかは分からないが、いい句だろうなと思う
★長袖の長所たゆませる春の日
という俳句が生まれた
長袖は寒さを軽減させるという長所がある
その長所をゆるくさせてしまう春のあたたかさについて書いた俳句だ
腕捲りをしたくなる春への入口をイメージした
たゆませる、という言葉が合っているか、それだけが不安だ
でも、自分ではまあまあだと思っている
★チカチカとガラスを泳ぐ団扇の尾
という句が思い浮かんだ
テレビを見ているときに、窓ガラスにチカチカが映った
よく見るとそれは、家族が高速で扇いでいた団扇が、ガラスに映ったものだった
最初見たときは団扇だとは思わず、生き物のように見えたので、このような句を書いた
ありきたりと言われれば、ありきたりかもしれない
だから、あまり自信はない
★病棟の 空に彩雲 祖母の顔
という句が出来た
これは入院している祖母に、久し振りに会いに行った日の句だ
駐車場に車をおいて、病棟の方を見ると、七色に光る雲があった
虹のようにアーチ状になっている訳ではなく、雲が七色に光っているという感じだった
そこにあまり会っていなかった、祖母の顔が思い浮かんだ
今まで見たことのなかった美しい光景を、祖母が見せてくれたのだと感じた
これは特に気に入っている句のひとつだ
ハマると、どんどんどんどんとハマってしまう僕だから。
これから、もっと俳句にハマってしまうことでしょう。