第一譚
俳句を書いてみたけど、こんなのでいいのか、ふと考えてみた。
これは、どのくらいのランクに位置しているのだろうか。
『ストローを豆乳に挿入、豆乳を口に投入、我が家の公式飲料に豆乳を導入、豆乳を飲めば豊乳?迷わないで、今すぐあなたも豆乳を購入!』
みたいなラップが入るCM案を考えてしまう僕だから、たぶん俳句の評価は、上位か下位かどっちかだろう。
★カナヅチが擦らす浅瀬の浮き輪底
という俳句が出来た
自分では、いい方ではないかと思っている
でもこれで、カナヅチが泳げない人だと、すぐに分かるだろうか?
カナヅチの人の苦悩が、短い言葉だけで表現出来ただろうか?
プロの人に添削されたら、浮き輪しか残らないんじゃないだろうか?
とかいろいろ考えてしまった
★掻きむしる指一日<いちじつ>の氷点下
という俳句が出来た
自分では満足はしている
指が荒れていない綺麗な状態でも、一日だけかなり寒い日が来ただけで、すぐに指が荒れたり、痒くなってしまうという、苦悩を書いた句だ
でも、一日をいちじつと読ませることへの、是非があるだろう
そもそも、全く同じ漢字で、ついたち、と読む季語が存在している
他に浮かばなかったから使ってしまったけど、大丈夫だろうか?
とてもとても不安になる
★後頭部 電車窓で打つ 小春かな
という俳句が出来た
自分では普通によく出来たと思っている
これは、小学生の頃に寝不足で電車に乗ったとき、眠すぎて眠すぎて、何度も何度も、座っている席の後ろの窓に、頭を打ち付けてしまった時のことを書いた句だ
でも、これは少し、在り来たりではないだろうか?
誰もが経験していることは、俳句に書き尽くされている、ということだろう
小春という季語が、本当にこの句の雰囲気に合っていると、言えるのだろうか?
電車の窓、とは書かずに、電車窓と書いてしまったことに対する是非は、どんなものだろうか?
すごく不安になる
★水槽に餌やるママの金魚の糞
という俳句が浮かんだ
まあまあな出来だと、自分では思っている
これはしっかりと映像に出来ていて、みんなが想像出来るようになっているだろう
でも、誰も考え付かない作品か、そうでないかと聞かれたら、そうではないかもしれない
たぶん、季語と全く関係ないものとの、取り合わせが一番いいのだろう
でも、良いと信じたい
★電池残量10% 息白し
という俳句が思い付いた
これは、王道ではない作品だろう
5・7・5にはなっていないし
電池残量10%という情報に、息白しという季語を、ただ合わせただけだから
冬は、スマホの電池の減りが、普段よりもはやくなる
そして、それを目の当たりにして、ため息も多くなり、外の寒さが身にしみてくる
そのような状況を読んだ句である
この、電池残量10%のものが、スマホだと分かるだろうかとか、いろいろと考えた
きっと、良い評価がもらえるだろう
★Wの指の窓から 夏柳
という俳句を作ることが出来た
自信はある方だが、正直どうだか分からない
肝だめしをした記憶はないから、想像で書いた
怖いときに指をWにして、指と指の隙間から、恐る恐る覗いたことはあった
だから、それを書いた
想像の句ではあるが、少しは情景が思い浮かぶだろう
★ボンと咲く傘 放たれし真冬の蚊
という句が思い浮かんだ
考えたというより、降ってきたという言葉の方が似合う
出掛けようと外に出たら、強めの冷たい雨が降っていた
戻って、少しの間使っていなかった傘を持って広げた
すると、一匹のあまり元気がない蚊が、傘の中から出てきて飛び去った
真冬なのに、傘のなかで生きていたんだね、と驚きと笑みが同時にこぼれた
この句は、個人的に気に入っている
俳句が、だんだんと好きになってきた気がする。
これからも僕は、俳句を書き続けることだろう。