谷間には夢と希望が詰まっている!
20xx年2月14日 午前9時、肱川嵐発生の日。
「おねえさん、えっえっえっ……、おねえちゃんが、おねえちゃんが……」
涙流らに語るまちこ。そうかそうかと愛想良く相槌をうつ、プラムスター。
「……妹の好きな男を先に取ったのか」
その大人な一言に傷付き、びぇぇぇん!と泣き出すまちこ。涙がプラムスターに降りかかる。と……
「ん?なんだここは……、ゴホ!何か喉に……。ふお!ぐぬぬぬ……、ふぅ、抑え込んだ。クソ!この女教師、一瞬、意識を取り戻したとは……、清らかな涙に触れたせいか!早くせねば……。キングも見つけねばならぬのに!」
「ふぐふぐ!おばちゃん、なにぶつぶつ?」
「おねえさん、これを使いなさい」
「ありがと、おねえさん」
白衣のポケットからハンカチを取り出すと手渡す。道の上ではやり取りが始まっていた。
――「ちぉぉっとぉぉぉぉ!たあいへぇぇぇん!こんな所にいたの!まるあ、あ。微居もいる」
河原では繋がる河川敷公園から走って来たまるい。まるあを探していたらしい。
「まるい、どうしたのよ、チョコ配りしてたんじゃないの?」
まるあの『チョコ配り』その言葉にピクリと反応をした微居。ズゴゴゴ………、いぶし銀のモブオーラを放ちながら、足元の岩に手をかけた。
「家に帰ったら、お母さんがパニックてて!勇斗君と篠崎さん、茉央ちゃんやまあ君が!起きないって!猫耳と尻尾はえて、ニャムニャムこたつで丸くなって、ひたすら寝てるんだって!他のお付き合いしてるんだ♡君と僕。の皆もそう!もしかして『新型 ニャコロウィルス』の変異型とか言われて、このままじゃ学校が立ち入り禁止になるよ!」
一気にまくし立てたまるい。
「ええー!そんな事になったら、その他大勢の立ち居位置で彼氏なしの私達なんて……消滅しちゃう!」
「嘘ぉぉ!どうしよう……。で!ちょっと!微居、岩抱えてる場合じゃないじゃん!そういや絵井、大丈夫なの?それでなんでまるあはここ?」
「あー、妹が河川敷に行くから、それで通りがかったら微居がいて、渡して貰おうかな……って、あ……、まちこ……、まちこ?あれ?梅先生だよね」
ゴニョゴニョ説明しつつ妹を確認する為、キョロキョロと顔を向けたまるあ。視線の先には、しゃがみ込み妹の世話を焼く、白衣をマントの様に羽織る梅先生の姿。
「ホントだ。んじゃ、大丈夫だよ」
うん。気になりつつ大丈夫と思ったまるあ。で!どうしよう!とまるいは話す。
しかしそうはいかない。何故ならまちこの相手は、梅先生ではなかったからだ。プラムスターは言葉巧みに、幼子が持つソレを、ふくふくとした手のひらに出させる事に成功する。
「ほぉぉ!これは素晴らしい『チェリー』これを使えば、何でも夢が叶うぞ」
「ほんと?でも、まだ、おおきくなってないって」
「フフフフ、おねえさんに任せて!玉を大きくすりゃいいのね!ちょっと貸して……」
素直に差し出したそれを手にすると、プラムスター
は立ち上がる。ボタンを外す。『金太郎腹巻き』に覆われた首元から下が顕になる。えい!と布地を前に出すと。
谷間にさくらんぼをキュッと押し込んでしばし……
……ふ!フフフフ。女の谷間には夢と希望が詰まっている。さあ!餌を食べるのよ!玉!育て!玉!
「……、ほうら、大きくなったでしょ♡あ!ああ!ほらみてご覧、クルクルのお兄ちゃんに!なあんと!女が二人になったわよ!モテモテねぇ!」
「ふえ!ええ!まるいのおねえちゃん……、きのうかったの、ホワイトチョコ、そんなのいやぁあ、みんなきらぁい、うわぁあぁん!」
大きく育ったソレを両手で受け取りながら、泣くまちこ。
「ほんとにねぇ、酷いわねぇ……、ソレを使って変身して……、お仕置きしない?」
「おちおき?」
「そう、悪いおねえちゃん達は、『サラ毛』に変わって!お仕置きよ!」