27話 フィニー巨大化!
「まず2人には〈無敵〉を渡しておこう。これなら、例え剣神様に攻撃されても耐え切れるほどの強さだから安心だ」
フィニーとフィーナの2人にスキルカードを渡す。仲間であれば出来るだけ力を与えておきたい。
「剣神様ほどの相手と戦うという事態にならないことを祈りたいがな。まあないだろう」
「フィーナ、神様達がそれフラグって言うらしいよ。そういうことを言うと、実際に厄介ごとが起きるんだって」
1番口を滑らせてフラグを発生させそうな奴が説明を始める。
「じゃあ、何かあったらフィーナの責任って事で」
「うんうん、それが良いじゃない」
ソラとフィニーが頷く。
「お前達は、なんでそんな時だけ気が合うんだ。悪友かなんかか?」
相手を煽る時なんかは、確かに気が合ってる気がする。もしかすると同類なのかもしれない。
「ボチボチとスキルも揃えるとして、フィニー」
「お、待ってましたー!」
嬉しそうな声を上げるフィニーに1枚のカードを差し出す。〈巨大化〉のスキルを作り出したのだ。
絶対作ってやるかー!と言ったもののそこまでソラも鬼ではない。
「やった!早速っと」
カードがフィニーに吸い込まれていく。そして……
「おお!」
「なんと!」
ソラとフィーナが感嘆の声を挙げる。
そこには、人と同じサイズに変身したフィニーが立っていた。
全裸で……
どうやら服は巨大化の際に吹き飛んだ様だ。まあ当然といえば当然ですよね……
「ぎゃー!服!服が無いんですけど」
驚きの声を上げるフィニー。
「落ち着け、何か羽織れるものを」
慌てて着るものを探すフィーナ。
「性格と胸は反比例なんだな?フィニー……グハァ!」
冷静に分析するソラの顔面に蹴りが炸裂し部屋の外まで蹴り飛ばされてしまう。そのままチーンという効果音が鳴ったかの様にソラは気絶するのだった。
「全く、デリカシーがないんじゃないの?最低だわ、ソラ!」
フィニーの足跡がしっかりと残っている顔を押さえているソラにフィニーが言う。現在は、フィーナが用意した服を着ている様だ。
「顔面蹴ることはないだろう……イタタタ……」
回復系統のスキルでも取ることにしよう。
「まあ、お詫びにフィニーの服を修繕するよ。《スキルジーニアス》」
スキルカードを2枚作り出して散らばったフィニーの服を集める。
「よし、まずは〈修復〉っと!」
カードを自らに吸収してスキルを得る。あっさりとフィニーの服は元通りとなった。そして、もう一つのカードをフィニーの服に使う。
「服にも使えるのね……便利だこと」
「便利ってレベルじゃないと思うがな……」
ソラの作業を眺めながら、2人が呟く。
「できた。〈伸縮自在〉のスキルを服に付与したから、これなら姿が変わっても服が破れたりもしない」
と言いながらフィニーに渡す。
「あ、ありがと。結局、直してくれるあたりソラって優しいよね」
「そんなことはないぞ?まあ、着替えなさい」
フィニーが着替え終わり、ソラはベッドに寝転がる。ちなみに、着替えをするときは外に追い出されていましたとも。
「ふぃー、疲れた疲れた。一仕事終えたから俺はもう寝たいよ。晩ご飯の時間になったら起こしてね〜」
「だらしないわね〜、とは言いつつも私も眠いわね。ちょっとソラ、少し場所を開けなさいよ」
ソラを押しやりながらフィニーがベッドに入ってくる。小さくなれば良いものを……
「なんて自由な……」
と言うフィーナの言葉は耳に入らず、ソラとフィニーはいびきをかきはじめるのだった。