魔法について
ハークボルト王国には魔法と呼ばれるものが存在する。そして魔法の存在こそがこの国に繁栄をもたらしている。
基礎魔法である炎・水・風の3種類と、その3つから派生した光、氷、草、木など全て合わせると国内で38種類も確認されているそうだ。
ハークボルト王国の国民、通称ハクト人は魔法を使い、王国を発展させてきた。
これからも王国が発展していくために、14歳以上のハクト人は学校で魔法を学ぶことが義務づけられている。
13歳になったハクト人は、“国家魔法調査テスト”を受させられる。その結果を元に、国から自分の魔法レベルにあった学校のリストが送られる。そして、自分にあった学校を選び入学する。
魔法レベルはその人の生まれながらに保有している魔力量と、その魔力をどれだけ操れるか、という技術力から総合的に判断される。
王国の最難関校と言われているのが、私の通っている国立ハークボルト学園だ。
今まで、歴代の国王や国の重鎮など、数多くの偉人を輩出してきた、名門校。
私は、コネで入学したんだけどね…。
入学式当日、校長先生によびたされて、「この学校の入学基準を満たしていない生徒に入学を許可したのは、このハークボルト学園創立400年の歴史で初めてです。」って言われました。
第一王子の婚約者がそこら辺の学校の卒業じゃダメなんだって。
私は「あー、やっぱりかぁー」って思ったけど、ルーナガチギレしてたなぁ…そのせいで校長室出禁になりかけたっけ…。
多分、校長先生は、『魔力レベルをあげるために、人一倍努力してね』って伝えたかったのだと思うけれど、ルーナには伝わらなかったみたいだった…。
癇癪起こして物を投げたり、怒鳴り散らしたり…。
はぁ…思い出したら涙が…。
そんな奴が授業についていけるはずもなく、というか、努力の嫌いなルーナは最低限の課題すらやってなかった気がする。
ルーナの保有している魔力量は少ない。ハクト人の平均は50魔力なのに対し、28魔力だけしかない。
つまり、普通の人の何倍も努力しなければならなかった。でも、ルーナは努力しなかった。
結果、成績不振で呼び出されることになった…。
地味に静かに生きるために、まず、すべきことは勉強よね!毎日コツコツ頑張ったら、卒業までには平均くらいにはなれるはず!
そしたら、問題児扱いされないよね!
エイエイオー!と私は小さく拳を握った。
<補足説明>魔力量について
魔力量は先天的なもので、基本的に増減しません。
例えば、炎を操る魔法を持つハクト人A、Bがいるとします。
Aは100魔力、Bは50魔力とすると、BはAの半分の魔力量であるため、Aの操ることのできる半分の大きさの炎しか操れません。
ですが、炎を操るための技術を身につけるのに魔力量は関係がないため、努力次第では、BはAより優秀な成績をおさめることができます。