容姿の美しさ、中身の醜さ
あまりの自分のひどさ(正確には私じゃないけど)に目眩がして、ペンをおく。かわりに近くにあった手鏡に覗き込んだ。
癖のないまっすぐな白銀色の髪。透き通るように白い肌。くっきりとした目鼻立ち。瞳の色はスカイブルー。
ルーナは(昔の私は)自分の容姿に有り得ないほどの自信をもっていた。一日中鏡の前に座り込み、自分を眺める日もあった。
「確かに、美人だよなぁ。」
私のような問題児が、王子の婚約者でいることのできた理由の1つだろう。圧倒的な美貌。…中身は残念だけど。
今は、王子の婚約者という身分にそれほど固執していない。というか、できることなら遠慮したい。
ルーナ(昔の私)と違って、私は、そこまで殿下が好きなわけではないし、王妃になりたいわけでもない。というか、なりたくない。
できることなら、修道院に入って、修道女として生きていきたいのだけれど、それは周りが許さないだろう。(おもに父親)
向こうに非がないかぎり、こちらから婚約破棄なんてできるはずがない。
それに、王族の婚約破棄はよっぽどのこと(法で裁かれるほど罪のある行い)をしでかさない限り受理されない。国内外でのイメージを悪化させないためだろう。
つまり、王族との婚約破棄=牢屋にぶちこまれる、な訳であって。
もちろん、私にそんな勇気はなく、
…
え、詰んだ。