おもしろいこと。
闘技場で2つのギルドが壮絶な戦いを繰り広げている一方、借りた馬車で、逃げるようにして、ベルリラの都市の門を通り抜けた1人の男がいた。
すんなりと門の検閲を抜けた馬車の男は、ベルリラからしばらく行った丘の上で留めると、荷台に隠すように押し込まれていたリコを、地面に放りだした。
ちなみにリコは、目隠しをされ、身動きができないように、縄で手と足首を縛られた状態である。
男は、そんなリコの縄を解いて行くと、都市で圧巻にでもさらわれたとずっと思っていたリコは、少し怯えながらも、恐る恐る目を開いた。
「し、師匠……!?」
目を開いた先にいたのは、こんな状態を少し面白そうにするレイの姿だ。
リコは、自分をさらった人物が知っている人で、安心していいのか、それとも腹が立てばいいのか分からなかった。
「師匠、なんでわざわざこんなことをしたんですか!ずっと変な人に捕まったんじゃないかって、心配してたんですから……!」
レイとの話が終わり、すぐに会場に戻ろうとしたリコだったがふとトイレに寄った際、背後から薬のようなものをかがされて、気を失ってしまった。
気が付いた時には馬車でしかも縄で身動きが取れなくされていたのだから、そう考えても仕方がない話だ。
だが、そんなリコに対して、レイは謝罪の一言も無く、ただ目を輝かせていた。
「そんなことより、ちょっとだけ、面白そうな仕事を見つけたんだ!」
そのレイの表情はまるで子供の様であった。
完全に嫌な予感しかしないリコだったが、一応
「面白い仕事って何ですか……?また、ゴブリン退治ですか……?」
と聞いてみた。最後のはどちらかと言うと嫌味のつもりだったのだが、レイは特に気にした様子はない。
「リコ、ちょっくら、ドラゴンでも倒しに行こうぜ……!」
レイの言った言葉に、はぁ?とこの人はいったい何を言っているんだ?と言う顔をリコはした。
「ドラゴンなんて、昔話ですよね?師匠、何を言っているんですか?」
「現れたんだよ!ドラゴン……。で、とある都市にそのドラゴンが向かっているらしいんだ。ちょっと面白そうじゃねないか?」
また、リコは「はぁ……」と困った顔をした。
レイの突拍子もない話しは、信じられない話ではあったが、こうなっては自分には彼を止めることは出来ないことは十分に分かっていた。
「分かりましたよ……。どこまでも師匠に、付いて行きますよ……!」
リコは少しだけあきれながらも、どこか微笑みを浮かべてレイに付いて行くことを決めるのだった。
ここまで読んでくださった読者の皆様。本当に感謝です。
2章はどちらかと言うと、コメデイよりの話になっていたのかな?
次回は明日を予定しております。
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それではっ!




