その後……。
結局、もと来た街に着く頃にはレイとリコは歩きになっていた。と言うのも、乗っていた馬車は岩にぶつかって、見事に爆散したのだ。
まぁ、リコの操縦不慣れと言うのもあるものと、よそ見が主な原因だった。
しかも、街に着くなり門で待ち構えていたのは、レイとリコを追っていた3人の衛兵だ。そのまま牢屋に連行され、仕事の報酬で釈放金は十分だったのだが、それでも3日間は、牢の中で過ごす羽目になった。
牢屋から解放されると、次は娼館やら馬車の弁償代、あとソルベ村の防衛でお世話になった武器商人の代金とを、言われるがまま支払っていたら、手持ちのお金はすっかり無くなってしまった。
そのため、すぐに他の仕事を探すことになったのは、言うまでも無い話だ。
師匠曰く、
「くそぉ!あんな大変な思いしたのに、何も残らねーじゃねーかよ!」とぎゃーぎゃー騒いでいたが、それに対してリコは「全部師匠の自業自得ですから!」と突っ込みを入れると黙ってしまった。
ちなみに、あのソルベ村はと言うと、いつの間にか、地図上から姿を消してしまったという。
これは別に、レイとリコが秘密をばらしたわけでも、密告したわけでもない。
このことをレイに聞いてみると、こんな風に説明した。
「村って言うのは、人がいて、物が集まるから村になってそれが多くなれば街になるものだ。だけど、人の行きかいがなくなれば、集落は経済能力を失うから、人は次第に離れていなくなる。そもそも、あの村は今まで存在していたこと自体が異常だったんだ。つまりすべては幻だったんだよ……」と言っていた。
そう言うレイに対して、リコはある疑問を投げかけた。
「師匠は、こうなること初めから分かっていたんですか?」
だが、レイはあっさりと「さぁな……」と素っ頓狂な物言いをし、
「まぁ、あとのことは俺達の知ったことじゃないからな……」と最後に付け加えた。
これで、1章の「傭兵の弟子」は完結です。
ここまで読んでくださったかた。本当にありがとうです。
2章は、また改行が終わり次第、upしていきたいと思います。
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