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いつもの”日常” 9

 ー◆ー




 三人で晩御飯を食べ、食器を片付けた後、自分の部屋へ再び戻って、()()()()のために休むことに専念する。


 大体、こちらに転移してくる者達は日が沈んでから多くなる。

 主な理由としては、俺の住んでいる地域の“マナの地脈”が大きく関わっている。

 “マナの地脈”は天候のように複雑で、いつどんな状態になるか検討が付かない。

 ある程度感じ取ることは出来るが、降水確率の様に何%みたいな推測しかできないのだ。しかも天気予報よりよっぽど当てにならない。

 このマナの地脈にも地域によって気候が違うのと同じで、いろいろな特色がある。

 俺の近所の地脈は“異界に繋がりやすい”という特色を持っており、マナの地脈が夜に大きく()()特徴があるため、俺は夜の対処に追われている。


 神隠しの伝説がある場所があったり、妖怪の伝承がある場所があったりと、各地に様々な言い伝えがあるのは、そこが異界に繋がりやすかった地域であることが多い。


 あの森に入ってはダメ。たまに異世界に繋がっているから行くな。

 祠に近づくな。異世界への道を封印してあるから近づくな。

 あそこには幽霊が出るぞ。異界からこっちにやってくる。

 

 この様に現代でもそこに行ってはダメと言われるところはよくあると思うが、本当に危険なのだ。

 大半の公になっている場所⋯⋯特に“心霊スポット”とかになっているところは元々繋がりやすい場所で、もうすでに封印、対処を完了している場合が多い。

 しかし、素行の悪い奴が封印の札、楔、祠を壊したり、時々マナの地脈が大きく唸るせいで封印があまり効力を成さなかったりと、結構被害が出たりしている。

 そんな危ないものを黙って見ている訳にも行かないので、当然それらを封印、対処している集団もいる。


 例を挙げるなら、陰陽師、魔術師組合、宗教団体など。他にも色々あるが、主に関わったことのあるのはこの三つだ。

 この三つの集団は話せるには話せるんだが、集団になるとその中で社会が出来ていて、付き合い過ぎると、かなり面倒なことになることが多かった。

 一定の距離を保ちつつ、「俺は俺の近所の対処するから、対処するための費用とか事後処理とかお願い」と簡単な契約をしている。

 この契約の時、お偉いさんがガタガタ抜かすから俺が、


 「邪神とかやれんの?」


 聞く。


 「そんなもの来る訳がないだろ!」


 そう言うもんだから、事実を知ってもらうために、邪神を結界に閉じ込めて、そいつの寝ている部屋へ送り、夜明けまで一緒に過ごして貰った。

 夜明けを過ごしてもらった人のところに行くと、真っ黒な髪が全部漂白されたように白くなっていた。

 顔が、実年齢よりも大分老けた顔をしていたが、心まで漂白された様で、その後の交渉が円滑に進んだ。俺も理解してもらえて嬉しかったので、満面の笑みで交渉に応じた。


 (⋯⋯マナが大きく唸り始めた)


 ムクリと体を起こす。

 神々等のヤバイ奴らはこの大きく唸る時にやって来る。

 この“唸り”はマナが集まっている⋯⋯力そのもの様なエネルギーが溜まっている状態だ。この状態を利用して奴らは転移して来る。

 簡単に言うと魔力量は“存在の大きさ”でマナは異世界を繋ぐ“トンネル”だ。

 「自分の体が大きいから普段のトンネルじゃ通れない。だからトンネルが大きくなって通れるときに行こう!」って感じにやって来るのだ。

 トンネルが小さいまま、通れる裏技もあるがそれは大きく力を使うことになる。

 だから通れる時にこちら側へ来るのだ。


 己の力を信じて侵略して来る奴。

 己の世界で負けて追放されて来る奴。

 興味本位でやって来る奴。


 理由は様々だが、大きく唸る時は大体面倒な奴が多い。

 なんせ力を使わずにこちら側に来ようとするんだ。何かを企んで来る。

 ベットから起きて、一緒に部屋にいたアネムに声を掛ける。


「アネム、今日も頼む」

「もちろん!任せて!」


 部屋を出て、玄関で靴を履く。


「行くの?」


 振り向くと母さんが心配そうにこちらを見ていた。


(心配しないで⋯⋯って言ってもダメか)

「大丈夫、普通に帰って来るよ」


 笑って、


「行ってきます」


 そう言って、玄関を出る。


「行ってらっしゃい」


 見送ってくれる母さんに、背を向けて手をヒラヒラさせた。




 ー◆ー




 (今日の唸りは⋯⋯ヤバイな)


 久々に、大きい唸りが地下深くで起こっている。

 空から辺りを見回すと、あらゆる所からマナが溢れ出している。

 マナとは力、生命、意思など様々な捉え方が出来る万能なエネルギーだ。

 火、雷、風、重力等、あらゆるエネルギーはマナから変換され、周りや生き物の体に何かしらの影響を与える。

 魔力もマナである。

 魔力がマナの本質に一番近い。

 火や雷などのエネルギーではマナを動かすことは難しい。だが、魔力ならある程度、マナを操ることが出来るのだ。

 それが発展して魔術になった。

 それを道具に宿すことで魔導具にすることができた。

 マナ=魔力ではない。

 だが、密接な何かであるとは言える。


 マナが大きく溜まっている。こういう時は転移が頻繁に起こる。

 早速、反応が三つ出てきた。

 反応の一つを、今作った魔力の槍を投げて壊そうと思った時、突然、全ての転移の反応が消えた。


 ⋯⋯は?


 背筋がゾクゾクする。

 なんかヤバイ感じがする。


 『アネム!一旦集合だ!』


 急いでアネムへ念話を飛ばす。

 返事が帰ってこない⋯⋯マナが溢れているせいで魔力が届かないのか!


 スマホを取り出して、ゴルさん達に連絡を取ろうとするがこちらもマナのせいで圏外になっている。

 魔力の槍を消して、スマホをポケットにしまう。


 これは⋯⋯久々にマズイ奴が来るかな⋯⋯。


 マナが溢れ出ている光景を見ながら、冷や汗を額から流す。

 

感想などくれると嬉しいです。

自分でもキャラがどんな感じか分かってるつもりなのに、後から見るとセリフがなんか違和感あったり⋯⋯難しいなぁ

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