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いつもの”日常” 4

 ん〜!っと隣のアネムが嬉しそうに食べている声で、思考の世界から引き戻される。

 今の彼女は、昨日の白いローブではなく、白色で清楚な長めのワンピースを着ている。

 余裕がある感じだが、強調している部分は隠しきれていない。

 女神様なだけあって異性の目を釘付けにしてしまうため、普段はかけない“存在をあやふやにする”魔道具であるベージュオークルのメガネをかけている。

 このメガネを掛けていると、あれ?さっき人がいたような?って感じの存在になる。

 結構効力が高く、魔力が操れる平均レベルより上の人でも見破ることが難しい代物だ。

 これをしないと、彼女の神聖な雰囲気に人集りが出来たり、女神様だと分かる人が見ると崇拝したり、変な機関に連絡を入れられたりするから必需品だ。


 少し?天然が入っているが彼女は優しい神様で、最初の転移した時はよく心配してくれて、俺が自ら進んで転移したはずなのに、結構泣き言を喚き、酷いことを言ったのに、


 「ごめんね⋯⋯」


 と、悲しそうな顔をして、何度も謝って優しい言葉を何度もかけてくた。

 裏で色々と支援をしてくれたり、今も異世界からの転移してくる奴らの処理を、地球の神様でもないのに手伝ってくれている。

 まぁ、俺も彼女を最初を合わせて三回救っているからそのお礼なのかも知れんが、本当に良くしてくれている。

 それでも、神様というものは“大体が我儘”であり、彼女の様な理想の女神様は稀なのだ。最初がアネムで本当によかったと思っている。

 てか、彼女じゃなければ性格絶対歪んだろうし、下手したら死んでた。


 そんな経緯もあり、今日は彼女の好きなプリンを買って苦労を労っているのだ。

 彼女の世界は、江戸幕府辺りの時代で技術革新が世界中で起こっている段階だ。

 そんな中、食事は今の地球よりかは進化していないため、彼女の世界に無いもの、特にプリン等の甘味を所望しているわけだ。

 最初は子どもが食べていたアイスをじっと見ていたため、進めてみたら凄く嬉しそうに食べるもんだから定期的に買ってあげている。

 正直、こんなものでいいのか?っと尋ねると、


 「これで十分だよ!」


 と、言うのだ。マジ女神様。


 彼女との付き合いは、中学二年の時から、今の高校二年までの三年間だが、これは“地球での時間”の話だ。

 転移は基本、転移した時から戻る時まで“時間は経過するもの”だが、彼女は女神。つまりは神様だ。

 元の時間に戻る術を持っており、何十年経とうが見た目も元通りにすることができるのだ。

 だから、地球では三年でも、彼女と歩んだ時間は数十年近くになる大切な仲間なのだ。


 「ご馳走様でした!」


 満足気な様子で手を合わせ、ゴミをちゃんと分けて捨ている。マジ(ry


 アネムは主に、自分が学校に通っている時にこっちに転移してきた“者達”の対処になる。

 彼女の結界は凄まじく、本気を出せば多分、誰も抜け出せないものを作り出せる。

 元々彼女は、彼女の異世界の主神から、雑用を任されて創造されたらしい。

 特に得意な事は無い、と言うが、転移、“元の時間”に転移できる能力から、時間と空間に関することは秀でていると思う。

 そんな手伝ってくれる彼女に、自分の世界は大丈夫なのか?と疑問に思い、質問してみたことがある。すると、


 「ケンちゃんが主神様を倒しちゃったから、私が主神みたいになっちゃった。だから大丈夫だよ!」


 と、言ってきた。マジ主神様。


 結構怖がりで、睨まれたりすると怯えて人の後ろに隠れたり、結界を貼って、相手から自分を見えなくしたりする。

 そのお陰で三日間探し回る羽目になり、ちょっとした騒動にしたりするおっちょこちょいな主神様なのだ。


 「ケンちゃん、この後どうする?」


 そうだなぁ⋯⋯。


 「ちょいと“靴”の調子も見てもらいたいし⋯⋯行きたくないが、“メル”のところに行くかぁ」

 「そうだね、私もメガネを見て欲しいし」


 よしっと、ベンチから立つ。

 そして、“メルの雑貨屋”に向けて、二人で歩き始める。




ー◆ー




 プリンを買った商店街に戻って、メルの雑貨屋近くまでくると、歳が俺と変わらないか少し上下別れる人達で賑わっている店があった。相変わらず繁盛してんなぁ。


 「実際に“効力”があるからね」


 アネムが言ってくる。声に出てたか。


 賑わっている表側ではなく、店の裏手に回る。

 裏口にあるカエルの置物の頭に手を置き魔力を流す。

 すると、裏口の扉が木材の軋む音をたてながら開いていく。

 その裏口をくぐると、細工をするための作業台が3台ぐらい壁沿いにあり、残りのスペースには材料や鉱物が並んだ棚に、部屋を少し彩るランプなどが置いてあった。

 その作業台の一つにギャルの格好をして赤髪をポニーテールにした女性がニィっと嬉しそうな笑顔をしていた。


 「よぉ、ケン!遊びにきてくれたか!」


 よっと言葉にしながら、手をあげる。


 「今日はなんだ?“靴”か?それとも女神の“メガネ”か?」


 それとも、翻訳機?っと椅子の上をクルクルと回りながら、質問してくる。

 そしてピタッ止まる。


 「“魔道具”のことならなんでも任せな!」


 そういって、再びニィっと歯を見せるように笑った。

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