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いつもの”日常” 3

 ー◆ー



 「⋯⋯報告は以上です」

 「ご苦労」


 はっ!と、イルディが下がって部屋を出て行く。

 イルディの口元に白い何かが付いていて気になったが、報告した内容を頭の中で整理して行く。

 最初転移した時、気配もなく、“女神”と思われる存在に話しかけられ、警戒したところ、行きなり結界を張られて行動不能になる。⋯⋯理由が顔が怖かったからだとか。

 数時間後、突然質問されて答えていたところ、気配がなかったところから突如、イルディより強い魔力の男が現れた。

 イルディは死を覚悟したそうだが、力で解決すればいいものの、意外なことに話し合いでの解決を持ちかけてきたらしい。

 その後、バリュートス⋯⋯消滅させられた部下の魔力残滓を確認して、この事を報告しに帰還転移の話をしていた途中、異世界から追放された“神々”が近くに転移して来たらしい。

 それを、男はものの数秒で消滅させたらしい。

 消滅させた方法は空間を切り離していたせいで見えなかったらしいが、消滅後の魔力残滓が凄まじかったようだ。

 そして別れ際、


 「昨日の“アレ”の処理で分かったと思いますが、くれぐれも“貴重な転移”を使っての”調査”は慎重にしてください」


 と、言ってきたようだ。

 イルディはこちらの“威力偵察”が読まれて少し肝を冷やしたみたいだ。⋯⋯ツツシマ、ケンゴか。


 ようやく、ようやく会えたのかもしれない。顔がニヤついているのが自分でも分かる。

 扉をノックする音がする。


 「入れ」

 「魔王さ⋯⋯ヒッ!」


 入ってきた部下が恐怖で固まっている。


 「⋯⋯一端、下がっていろ」

 「失礼しました!」


 そそくさと出て行く部下。

 どうも私の笑った姿は恐ろしいらしい。恐怖で固まると、俺の言うことなど耳に入らないから後で聞くとしよう。

 だが、ようやく待ち望んだ奴に会えるかもしれんのだ。今はただ、この歓喜の感情に素直に従おう。


 「ククク⋯⋯」


 しばらく、部下が魔王様の部屋を入ったら直ぐに出て行く奇妙な光景が、よく見かけられた。



 ー◆ー



(⋯⋯寝みい)


 腹を満たして飲食店を出てくる人達を良く見かける祝日の午後、欠伸をしていた時にきた転移魔法陣を踏み砕きながら、今日は地元の商店街を歩く。


 “アレ”らを処理した後。

 追放されて復讐に燃える邪神さまを、追放した神の元に送ってやった。

 邪神に飲み込まれる様を大爆笑でザマァと見届けた後、移動魔法に失敗して転移してきたおじいちゃんを送り返そうとしたら、


「その術をわしに教えてくだされええええええええええええ」


 と、すがり付いて来たから、気絶させ強制的に送り返した。

 向こう側の転移魔法陣を壊してこっちに来れないようにした。


 そして先ほど、イルディさんを転移魔法陣で元の世界へ帰ったのを見送った。

 イルディさん一日何も食べてないだろうから、見送る時に冷蔵庫からシュークリームを持っていってあげた。

 食べてくれるか分からなかったけど、シュークリームに凄く感動して食べてくれた。

 持っていってよかったよかった。


 豆腐屋さんに寄って豆乳プリンを購入する。

 そして、人払いの魔術をしてある公園へ行き、持って来た豆乳プリンをベンチで待っていたアネムへ渡した。

 

 「ありがとう!」


 笑顔を凄く眩しいと感じるのはさすが女神様だと思う。


 初めて異世界転移した時の事を思い出す。

 当時は中学二年生の時で、正直かなり舞い上がってた。

 だって憧れるじゃん。魔法とか剣とか精霊とかさぁ。

 そんなウキウキな俺をアネムは、初めは申し訳なさそうな、凄く心配そうな顔をして見ていた。

 こっちが転移を了承すると、後光が刺すような微笑みをしてくるから、当時の俺は顔が熱くなるのを感じて見惚れていた。


 本当に最初はよかった。

 ワクワクした。ドキドキした。

 次の日が楽しみで仕様がなかった。

 だが、一週間もすれば現実も見えてくる。


 まずは食事の質だ。

 塩、胡椒の有難さ。醤油や味噌、特に米への渇望がもの凄かった。

 異世界から初めて帰った時、母さんのただの醤油で炒めた肉野菜炒めにご飯と味噌汁を涙を流しながら食べた。


 「いじめられたの⋯⋯?」


 母さんから本気で心配された。


 次に文化のレベルの低さ。

 大体なぜ、異世界転移が起こるのかと言うと、大半の理由が戦争、酷いものだとその異世界召喚して来た国の政策で、その国の政府に巻き込まれて酷い目に会うこともあった。

 “人”を呼び出す“転移召喚魔術”をする理由が、戦争であるため、その異世界における戦力は“人”がメインであると言える。

 つまり、戦車などの乗り物兵器は、ほとんど発展しておらず、大体“人が活躍する”戦争だったと言える。

 人がメインなら、兵器とかは槍とか盾、魔術の触媒である杖、良くて単発式の銃である。

 自分が転移した中で、良くて第一次世界大戦ぐらいが最高の文化レベルだった(敵国)。

 地球での第一次世界大戦の最新兵器が木材でできた戦闘機、そして、着弾すると鋭い金属片が飛んでくる、中に居ても危険な戦車だ。

 そんな異世界と地球を比べてみる。

 

 快適なインフラや便利な携帯。

 溢れんばかりの娯楽たち。

 何よりトイレを比べると、どうしても現代の日本に劣ってしまう。日本最高。


 そんな文化レベルなのに、魔力があるせいで、人一人が爆撃機、榴弾砲、はたまたそれらを防ぐ結界を張ってくるもんだから、戦術、戦略が根本から違うし、大体魔力の大きさが戦争を左右した。

 俺は魔力のお陰で、散々な苦労をしてきたのだ。


 死生観、価値観だったり、命が軽かったりと上げるとキリがないが、これが大体転移をしたくない理由になっていった。

感想をくれると嬉しいです。

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