五か六
あれから二、三日、私の気持ちは不安定だった。
仕事をしていても、ぼうっとしてしまっては、涙が浮かんだ。
日常ではしないようなミスも、いくつもしたし、テキパキなんて言葉もほど遠かった。
情報がない。
今まで、ガンを患っている人に、三人も会っていたというのに、まったく情報がないと思い知った。
私の知識は、抗がん剤や放射線の治療で髪の毛が抜け落ちるとか、副作用が辛いとか、そういう知識だけだ。
生きていることが、辛くなるほどの、しんどい副作用。
私は、そこまでして生きるとは思えないと、昔から思ってきている。
色々と検索した。
ガンだった場合の、生きていられる可能性。
再発率と生存率。
そもそも、ガンなのかというのがはっきりわかる表現は、何なのか。
手術だけで、完治して、今のように、普通に生きていけるものなのか。
検索して、募ったのは、不安ばかりだ。
吹き飛ばしてくれたのは、音楽だった。
私の大好きなベイスターズの選手、#1桑原選手の登場曲の一曲。
WANIMA「ともに」
……こんなに明るく歌い飛ばしてくれたら、どんな状況だって、闘病頑張ろうって思っちゃうじゃないか!
そこから検索したのは、実際に疑われている病と同じ病を患っている人のこと。
小町とかブログとか。
そこで、私は、先生が困ったようにしていたのが、どうしてだったのか、なんだかわかった。
検診結果が悪い結果でも、多くの人は、初期でひっかかるようだ。
そういえば、先生もそう言っていた。
例えば、十段階でいえば、一はセーフ。疑いなし。
で。
二か三で、多くの人は引っかかる。
私は、五か六だった。
二か三で、詳細の検査を受けてガンと診断されたというブログや書きこみばかり。
それで、ガンのステージ三と診断を受けた人までいた。
ああ、そうか。
だから、先生は、
「手術はするだろう」
と言ったのかと理解した。
ガンであっても、なくても、もう手術はしないと危険な状態だと検索してわかった。
あとは、検査や手術をした後でないとわからない。
でも、なんだかスッキリして。
今は、曲に救われて、自分の状態を受け止めている。
……走り回れるほど、元気なんだけどね!
よし、明日からまた、仕事を頑張ろう。