3、マイホーム
「本気かー」
異世界にきて二回目だ。
目を覚ますと頭上に桜が咲いていた。5m位の若木だ。
そして、横に目をずらすと、小さいながらも一軒の小屋が立っていた。
「二日連続の強制シャットダウンのお詫び?」
出だしが微妙だっただけに、このサプライズはテンションが上がる。
いくら擦れても、非現実的な光景は心が躍る。
ガチャ
「おー」
中に入ると木の香りが際立つ。ログハウスな作りだ。
正面に4人掛けのテープル。右手にベット。左手にキッチン。奥の扉の先はトイレ、浴室、小部屋になっていた。
「って、設備が全部魔道具!?」
コンロはワンタッチで火が付くし、流しは温度調節出来るコック式。
隣にあった扉付きの棚は、食器棚ではなく冷蔵庫というか冷蔵倉庫。
中は6畳位のスペースがあり、冷凍スペースも完備されている。
トイレは水洗で、浴室にはシャワーも完備。まさかと壁のスイッチを押したら明かりだった。
「排水とか色々気になるなぁ」
一通り家の設備をいじり倒し、満足した後、椅子に腰かけ思案する。
「食材がない」
異世界にきて3日目。気絶していた時間が大半だった為に気にならなかったが、ここにきて空腹であると腹が物凄い自己主張しだした。
「家の中には何もなし。外で集めないとなんだけど、武器どころか道具が無い」
冷蔵庫?の中に調理器具はあったが、狩りが出来るような道具は無かった。
そもそも、何かを狩って食べるなどしたことがなかった。
「無いものを嘆いても仕方ないし、とりあえず外の草でも鑑定してみるか」
ここ周囲500mは木々がない草原地帯だ。周囲に目が届くし、何かあっても家に逃げ込めるだろう。
周囲に気を配りながら家の周りに生える草を集め、直ぐに家の中に入る。
「さて、どうなるかと」
『神眼』
++++++++++
セリーヌ草:魔素の多いところで育つ。
HP回復効果がある。
ホミ草:魔素の多いところで育つ。
MP回復効果がある。
アデリア草:魔素の多いところで育つ。
状態回復効果がある。甘い。
ソリエ草:魔素の多いところで育つ。
状態回復効果がある。しょっぱい。
ビビ草:魔素の多いところで育つ。
状態回復効果がある。酸っぱい。
++++++++++
全部食べられる草だった。
セリーヌ草ホミ草ソリエ草をざく切りにしてソテー。
セリーヌ草ホミ草をちっぎってビビ草をすり潰したものを掛ける。
アデリア草は軽く叩いてポットに入れて蒸す。
うん、普通に美味しかった。
腹ごなしも済み、一息ついたのでメインイベントを進めよう。
朝からずっとほのかに光り続けているブレスレットに触る。
すると、目の前に半透明状のパネルが浮かび上がる。
『ダンジョンマスターをしての知識をインストールします。体を楽な状態にしてから左下のスタートを押してください』
と書かれていた。
立ち上がるとパネルも自動的に着いてきたので、そのままベットに寝転がりスタートを押す。
『これでチュートリアルを終了します。目覚めたらステータスを確認し、能力を把握した後、ダンジョンマスターとして末永く活動することを願います』
そう、頭の中で声が聞こえたのち意識を失った。
『DMプログラムをインストールします
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ERROR
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ーーープログラム展開
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・
・
終了
インストール終了しました』