15、
「魔砂の情報がそろったー」
あれから数日、必要な鉱石の情報がやっと補完した。
これでゴーレムを作る材料が揃った。
早速山岳マップ2へ行き採掘だ。
山岳マップ2へ駆け込み10トン籠を背負う。
「さー回収だ」
手で持てる岩を端から籠に入れていく。
「たとえー非力でもー♪
たとえー非力でもー♪」
「ぴゅーぃ♪」
「ダンジョンのー中でならー♪
むーてーきーなーんーだーよー♪」
「ぴゅぃぴゅーぃ♪」
ダンジョンマスターはダンジョン内に限りスタミナが減らない。
寝ないでも生きていけるため、本気で480日フルで働ける。
ただし、精神力が種族依存のため、アンデット系やマシナリー系の元々スタミナが無い種族でないと、心が壊れる。
逆に、単純に全力疾走一時間など精神にこないものだったら、いくらでもできるのだった。
セージも手のひらサイズしか持てないが、スタミナが無限なので収集スピードが速い。
ノンストップ6時間で籠一杯になった。
「さてさて、どれくらい採れたかな?」
入口に籠を置き蓋を開けると、傾斜がついているから自動で流れていく。
30分位で全部入り製錬が開始される。
煙突から煙が上がり、窯が熱を持ってくる。
溶鉱炉で溶かしています感もばっちりだ。
実はこの製錬釜中身は魔道具で出来ていて、『サーチ』で成分を分析し、『剥離』で宝石を剥がす。
『抽出』で各金属を纏め、『成形』でインゴットの形にしている。
全て魔法で終わらせるため、一切の音が出ない。
製錬しています感がゼロ。
余りの切なさにカスタム機能を使って煙と熱が出るように改造した。
追加の必要魔力は材料から差っ引くようにして。
詫び寂びは大事だと思うんだ。
15分で完成。
量が少ないものから、ゆっくり流れてくる。
魔砂:4トン、鉄200キロ、銅100キロ
「意外と鉄や銅も入っているなあ」
端から『イベントリ』へ入れていく。
この『イベントリ』は『容量無限』『時間停止』のお約束機能を搭載しているダンジョンマスターのスキルの1つだ。
ダンジョンの各倉庫系にもリンクしているので重宝するはずが、件の冷蔵庫があったため、封を切った食材を保管するだけにしか使われていなかった。
「今日は此処までにして、続きは明日やろう」
ダンジョンを出て家に帰る。
テーブルのパネルは特に変化はない。
今日も大量のグミ達が飛び跳ねている。
時間が空いたので、今日は煮込み系の凝った料理にした。
時間をかけただけあってかなり美味しく仕上がりクロロも大満足だった。
軽めの朝食を取り、山岳マップ1に来た。
ゲートから出る面を選べるので裏庭に直通だ。
「さて、いよいよゴーレム作成だ」
「まず鉄のインゴットを数本出します。これを錬金で『成形』、そばのこね鉢型にします」
インゴットがぐにゃりと纏まり、大きなこね鉢が出来上がる。
「そして、鉢の中に魔砂50キロをいれ、魔力を含んだ水でこねます。今回はグミ達が作ってくれたポーションを使います」
魔砂にポーションを練りながら掛ていく。
ダマが出来ないように満遍なく振りかけ、丁寧に捏ねていく。
「少し多いかな?と思うくらいで魔力水を止め、後はゆっくり丁寧に捏ねます」
暫く捏ねていくと、段々出に付く泥が減っていき、魔砂1粒1粒が魔力水でコーティングされたかのように手に付かなくなった。
「はい、この魔砂が手に付かなくまで捏ねるのがポイントです。この状態になったら魔石を中に入れ『クリエイト』と唱えて完成です」
『クリエイト』
呪文と共に魔砂が激しく動きだす。
上にぐぐーと伸び、ゆっくり戻る。
最後に水ようかんの形になり目が開いた。
「これが『ゴーレム』だよ。面白かった?」
クロロは出来立ての『マドゴーレム』の周りを飛び跳ねている。
結構興奮している感情が流れてくる。
「やっぱり混ぜるのに時間掛かるよなあ、魔砂使い切るのに一ヵ月ってところかな?
魔砂と魔法水を混ぜるにはどうしても人の手が必要だ。
人類の歴史では結局混合を自動化させることが出来なかった。
「左右50体ずつなら何とかなるかな?スライムは13月一杯でバカンスだ。」
早速来月の計画を立て始める。
「ゴーレムたちは裏庭で待機」
さて、少し忙しくなってきた。