14、
「これで最後だーっ」
力強くパネルを叩く。
そのままスライム達に全力出撃命令。
「ふっふっふ、ついについに辿り着いた!ここから伝説が始まる!」
12月の半ば、ついにクーリア山脈にたどり着いた。
支配領域も岩肌から5m深くまで伸ばしているから、範囲内の量で情報は揃うだろう。
10キロの道のりを6か月掛けた大工事であった。
「おースライムの粘体が迫ってくる」
領域内はモニタ可能なので壁から森に向かって撮影している。
ゆっくりとだが徐々に迫ってくるスライムの大集団。
これは中々見ものだ。
「到着ー」
視点を森からに帰る。
たどり着いたスライム達は壁に張り付き上っていく。
領域の先端まで行くと高さ20m位になる。
そこまで進んでから消化していく。
「良し、次は魔泥の準備だな」
早速山岳マップ2へ向かう。
山岳マップ2は鉱石採取マップで採掘ポイントで採掘すれば鉱石・宝石が取れるマップになる。
現在情報が何もないから石しか取れないが、数日すれば魔砂、鉄、銅までは取れるだろう。
それ以上は情報が足りないし、錫や亜鉛なんかは知られていない。
「運搬用の籠と製錬釜が欲しいね」
ゲートを出て左側に物置を、右側に精錬釜を設置する。
物置の中には1トンから10トンまで容量がある様々な籠を棚に置く。
重さを感じないので移動に便利だ。
もちろん盗難防止でゲートを潜れない。
「んー5m位あれば骨折するかな?」
ゲートの裏側を高さ5mの崖にする。
籠を持ったままゲートを潜ろうとすると、そのまますり抜け崖から落ちる仕組みだ。
バカは好きだが屑はいらない。
製錬釜は入り口から鉱石を入れると、含まれていた宝石の原石と、製錬した金属を下の出口から排出する。
実はこの精錬釜、色々詐欺仕様になっている。
1カラット以下の宝石は排出されないし、採掘した人の知識にない鉱物も製錬されない。
鉱物はインゴットになって出てくるが、これも各最小重量が決まっていてそれ以下は出ない。
更に手数料で一定数引かれる仕様だ。
この引かれた金属や宝石は宝箱から排出される材料としてストックされる。
採掘が流行れば宝箱もグレードアップする仕様だ。
「ダンジョンマスターなんだから、ストックしてある金属使っても良いし」
横領する気まんまんだ。
「これで魔砂が出来るから、もう一個の山岳ダンジョンだ」
山岳マップ2を出て山岳マップ1にいく。
山岳マップ1はゲートを中心に直径1キロの平の地面だけで、それ以降は傾斜になっている。
この傾斜は北に行くほどきつく、南に行くほどが穏やかな作りをしている。
季節も外と同期しているので、様々な大自然を堪能できるはずだ。
「大分生えてきたなあ」
木関係はまだ箱庭で育てていないので、このマップに生えているのはスライムの頑張りで情報がそろったこっちの木々達だ。
背は低いが山肌が緑色に色づいている。
箱庭で木を育てると、このマップにもニョキニョキ生える。
ただし、それはトレント種やドリアード種の魔物で普通の木ではない。
普通の木はエルキア産と同じ成長スピードで育つ。
そして、毒関係の植物はここには生えない。
フィールドダンジョンは出来るだけ優しい世界にしたい。
「さあ、ここに工房を建てよう。」
ゲートの裏にちょっと高級なログハウスを設置。
その家から左右に円を描くように、小屋を建てるスペースを確保。
「U」の字のように伸ばしていき、正面に炭焼き小屋を並べて置けるスペースを確保
炭焼き小屋を背に酒場兼食堂のような建物を立てるスペースを作り完成だ。
「DPがあればもう立てるんだけど」
無い袖は振れなかった。
「準備完了したから帰ろう」
数日後が楽しみだ。