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1、はじまり

投稿は週1~3を目指していきたいと思います。


 見渡す限りの大自然。

 日差しも心地よく、空気も美味しい。

 自然のかけらも無くなった都心から来れば、尚のこと格別だろう。

 ただし、その場所を知っていればの話だが。




********************


「本気か…」


 理性と混乱とがせめぎ合う中での言葉にしてはありきたりだった。


 立木誠二30歳成立て。

 ごく普通の中小企業に勤める営業マンが自分だ。

 20代最後の日と銘打って友人と飲み歩いたのが昨夜のこと。

 だいぶ飲み歩いて記憶も朧気だが、部屋に着いてベットにダイブしたのは覚えている。


「で、目を開けると空飛ぶ島が見えましたっと」


 夢なら覚めて欲しいけど、体に当たる草の感触や、肌に触れる風の感触が現実だと主張する。


「良い歳したおっさんが来ても碌な目に合わないと思うんだが」


 ファンタジー世界もリアル化して久しく『夢と幻想=スプラッタ』が当たり前だ。

 命が水素並みに軽い世界に、誰が好き好んで行きたいと思うのか?物語は赤の他人だからこそ面白いのだ。


「一応周囲は誰もいなさそうだよな?」


 体を動かさずに周囲を見渡しながら、何か動くものが居ないか探る。


「ふー、最近流行りのスタートゴブリンは居ないか」


『すたーとごぶ』


 異世界移転した主人公が、訳の分からないままいきなりゴブリンと出会う事だ。

 大体痛い目にあってのスタートになる。


 風の吹く音以外は特にしない。

 それでもと身動きしないまま息を殺し、五分ほどしてやっと上半身を起こす。


「大自然だな」


 深い森林にぽっかり空いた草原に寝ていたようだ。

 周囲500m位先以降木しか見えない。

 陸の孤島ともいえる状況だ。


「……」


 森の緑と空の青、山脈の茶しか見えない。


「……」


 心地よい日差しと爽やかな風が吹く。

 季節は春くらいだろう。


「……」


「あーもう、見ればいいんだろ?」


 隣に浮かぶ手紙に目を移す。

 無駄にデコっている。

 至る所にクリスタルを散りばめられ、金銀のチェーンが垂れ下がり、手紙の角からド派手な尾羽が伸びていた。

 地雷臭しかしない。


 少なくない時間見つめ、諦めを感じ手を伸ばす。


ピカーーーーーーッ!!


 触れた瞬間、強烈な光が溢れ目をつぶす。


「!?!?」


 混乱する中、頭の中で声がする。


『ーーーごめんね♪ーーー』 


 それだけかよ!と思いつつ、光の奔流に飲み込まれていると、さっきとは違う声が響いてくる。




『ーープログラム展開ーー



「ガァァァァーーー」


 激しい頭痛に叫びをあげる。


 ーーースタート


 ・

 ・

 ・


 肉体構造改変ーー


 ・

 ・

 ・


 精神構造改変ーー


 ・

 ・

 ・


 スキル《初心者パック》《異世界知識:地球》《世界知識》付与ーー


 ・

 ・

 ・


 ーーーシステムオールグリーン


 ーーー全てのプログラムのインストールが終了しました』



 意識の片隅で終わったことに安堵しつつ、意識を手放した。

 原因となった存在を決して許さないと決意しながら。






 


 

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