72 最後の仕事(2)
「そ、そろそろ次の人に代わっていただけますか・・・・?」
その空気を救ってくれたのは、さっきから案内をしていた侍女だった。
・・・・・かなりの時間を費やしたらしい。
「あ、ごめんなさいね。すぐ行きますから」
リディアは侍女にそう言った。
そして、私にも言葉をかけた。
「じゃあ・・・・なんとか頑張って、テンヤ。私にはこれぐらいしか言えないけど。応援してるよ」
お、応援しているだなんて・・・・。
そんな言葉、言われたことがない・・・・。
「あ、ありがとう、リディア・・・リディアもお店頑張って」
リディアは返事の代わりににっこりと私に向かって微笑んだ。
リディアは気弱そうなレヴィの腕を掴み去っていった。
・・・・・・なんかあの夫婦大丈夫かな・・・・。
家でなんかケンカとかしてそうだけど・・・・・。
「次の人どうぞ~」
ああ、次の人だ。なんとか切り替えないと。
次の人が、歩み出てきた。
・・・・・ん?なんだっけ・・・・このチャラいかっこう・・・・。
なんか一回見たことがあったんだけど・・・・誰だっけ・・・・?
ん・・・・・・・・・・・?
「王女様・・・・・お、覚えていますか?」
「・・・・いや、どっかで見たっていうのは覚えてるんだけど・・・誰だっけ?」
心の中で思ったことをそのまま言うと、彼は苦しそうな顔をした。
・・・・・傷つけちゃった?
「ご、ごめんね・・・名前言ってくれる?」
「ジャン・スナイパーです」
「ジャン・スナイパー・・・・・・・・」
あ!思い出した!
あれか・・・・あの、いきなり学校つぶしてとか言ってきた人!
私はとりあえず、『それはできません』とか返事しようと思ってたけど、
ガシスに止められて、ジャンは学校辞めさせていいことになっちゃったんだよね・・・。
・・・・一日中ゲームしたいとか言ってたし・・・。
そういえば、今のジャンの目の下にはくっきりと黒いクマができている。
そのせいで思い出せなかったのか・・・・雰囲気変わったから。
「お前はまさか学校を辞めた・・・ジャン・スナイパーか?」
急に割り込まない宣言をしていたガシスが割り込んできた。
・・・・まあ、やめたのはあなたが原因なんだけどね・・・。
「そうですよ。王様」
ジャンはガシスを見て「はあ」とため息をついて、私に向き直った。
・・・・・なんか暗い顔。
怖いな・・・・本当に前会った時とテンションが違うっていうか・・・・。
「それでですよ、アマノ王女様。僕はあの日から学校を辞めたわけですよ」
「あ、はい」
「一日中ゲームをしている生活はとても楽しかったです。宿題もないし、ガミガミ叱りつける先生もいないし」
・・・・・・思ったよりも満足したものになったらしい。
「ただ、僕は農民です。土を耕して作物を育て、収穫しなければならない。でも僕はそんな仕事もちろんしませんでした。ゲームが楽しくて」
「ほうほう・・・・」
ガシスが興味深そうにあいづちを打った。
・・・・・・私を見張るだけだったんじゃないの?
いつの間にか私が座っている玉座の隣に来ちゃってるけど・・・
「そしたら、ずっとゲームしていることが母のストレスになり、寝込むようになりました。そして仕事を手伝いたくないぐらいにゲームの依存に陥りました」
・・・・・・異世界にもゲーム依存の人がいるのか・・・・。
「・・・・僕はどうすればいいんですか?王女様のせいで・・・」
ん?なんか私のせいになってない?
ちがうよ?その提案したの、ガシスだけど・・・・。
私はガシスをぎろりと睨んだ。
ガシスはなんでもない顔で「うん、そうだよな・・・」とか言って私に罪をかぶせようとしている。
・・・・・・ひどいよ・・・止めようとしただけなのにあの時。




